留学生必見!パリでの家の見つけ方を指南
外務省の(感染症)危険情報が多くの国でレベル3(渡航中止勧告)、その他の国でもレベル2(不要不急の渡航はやめてください)となっていることから、2020-2021年度の留学は難しいかもしれませんが、今回は留学で非常に大事な家探しについて書きたいと思います。パリ近郊に留学しているので、自然とパリについての情報が多くなると思います。また、長期留学生という身分から、学生以外の方にはあまり参考にならない可能性もあります。あしからず。

1階にお店が入っている物件も多い
フランスの賃貸契約の基礎知識
家の探し方を書いていく前に、まずはフランスの賃貸契約の特徴をまとめていきたいとおもいます。前提として、学生が暮らすような物件は家具付きで貸し出されていることが多いです。家具の手数料は家賃に含まれていることが多いため、その分家賃が上がっていますが、家具・家電類を一式購入する必要がないことを考えると初期費用は比較的安く抑えられます。この際、細かいルールが法律(n° 2015-981 du 31 juillet 2015)で定められているため、大家は貸し出す部屋に以下のものを設置する、あるいは用意することが求められています(参考サイト)。
- 寝具(シーツや枕カバーなどを含む)
- カーテンか雨戸の備え付けられた窓(寝室として用いられる部屋にあればよい)
- コンロ(ガスや電熱線、IHなど種類は問わない)
- 電子レンジかオーブン
- 冷凍庫つきの冷蔵庫
- 調理器具と食器
- テーブルと椅子
- 収納棚
- 電気
- 掃除用具
また、契約期間は1年となっており、1年毎に契約を更新する必要があります。部屋を借りる側は退去日の1ヶ月以上前に大家に通知をすれば契約期間の途中でも退去できることとなっています(大家が契約を打ち切る場合は3ヶ月以上前に通告する必要がある)。敷金は家賃の2ヶ月分が最大です。
これらは法律で決まっていることなので、家具付き物件 (meublé)と書いてあるのにこれらの条件を満たさない場合には詐欺の可能性もあります。細かい条件をしっかりと確認するようにしましょう。契約書のサンプルも国のサイトにアップロードされています。
なお、家具なしの物件も存在しますが、こちらは法律で定めているルールが一部違います。契約期間が3年になり、退去通告は3ヶ月前までに行わないといけなくなるようです(大家の契約打ち切り通告は6ヶ月前まで)。家具付きの物件よりも家賃は多少安くなりますが、家具代を考えると割に合わないことが多いです。物件の数も少ないですし、フランスに来る留学生であればわざわざ家具なしの物件を選ぶメリットはないかと思います。
また、寮の場合はこれらの条件が満たされているとは限りません(契約の種類がやや違うためと思われます)。たとえば、僕が入居していたENPCの寮の場合は枕や布団、そのカバー、電子レンジ、調理器具、掃除用具などは備え付けられていなかったので、購入する必要がありました。
家を探す、その前に
家を探す場合、まずはどういったタイプの家に住むかを考える必要があります。家を探し始める前に、家探しの条件をある程度決めましょう。期間や場所、予算、部屋のタイプなどを決めないことには家探しは始まりません。
パリの家賃相場は、上昇する不動産価格に釣り上げられる格好で上昇を続けており、現在では東京よりも1-2割程度高いです。7階でエレベーターなし、専有面積10平方メートルといったかなり条件の悪い部屋でも500-600ユーロ以上することになります。普通の物件であれば目安は700-800ユーロといったところだと思います。パリは家不足が顕著なため、比較的条件が悪い物件でも借り手がつくことも多く、大家も比較的強気の価格設定をしていることもあると思います。

学生にとっては家賃は高い水準で推移しており、一人暮らしの他にCollocation (コロカシオン)と呼ばれるルームシェアも学生の間では一般的です。物件の条件にもよりますが、3-6人程度で80-120平米程度の大きめの物件を借りるというパターンが多いです。日本人留学生がコロカシオンをする場合、一緒に行く日本人の留学生同士でコロカシオンをするのか、フランス人学生や他の国の留学生とコロカシオンをするのかにもよりますが、居住者の数に見合った寝室があるかどうか、同居人との相性がいいかどうかなどでかなり暮らしの質は左右されると思いますので、事前にしっかりと考えるようにしましょう。なお、留学生の場合は珍しいかもしれませんが、フランス人の学生はカップルで同棲しているというケースもかなり多いように思います。
学生の場合、基本的には収入が少ないことと思いますので、CAF (Caisse d'allocation familiale)という様々な経済的支援を行っている公的機関のAPL (Aide personnalisée au logement)と呼ばれる住宅給付を受けられる場合も多く、この場合は最大月200ユーロ程度が支援されることとなりますので、東京都心の学生の一人暮らしとあまり変わらない値段で部屋を見つけることも可能かと思います。
場所については学校の近く、あるいは乗り換えなしで電車で行ける地域であれば問題ないでしょう。一般的に言われていることとして、パリ(及びその郊外)は西と南は比較的治安がよく(その分家賃もやや高く)、東と北に治安の悪い地域が多いです。治安がいいとされているところでも東京と同じくらい安全とは言い切れないと思いますので、家さがしの際は注意するようにしましょう。

学生寮などに入居する
ここからは実際の家探しで僕が使った情報を記していこうと思います。ENPCに来たとき、最初の1年間は寮に入居できましたが、その後は出ていかないといけなくなってしまったので家探しをしました。
大学の寮などに住める場合
僕が勉強しているENPCのように、学生寮があるところもかなり多いです。留学生の場合はこれらの寮に優先的に入れることも多いと思いますので、まずは留学先の大学などに滞在中入居できる物件があるかどうかを確認してみましょう。家賃が他と比べて安い、同じ大学の学生が多いため交流がしやすい、大学に近い、家さがしの手間が省けるなど、留学生にとってはメリットが大きいと思いますが、授業期間外に居住できない可能性もありますので、学期が終わった後もしばらくは滞在したいといった場合には引っ越しをする必要が出てくることと思います。見逃すことの多いデメリットですので注意しておきましょう。
また、その他にも部屋のタイプをあまり選べないことが多く、1人部屋を希望していたのに2人部屋になってしまったという話もよく聞きます。特に希望者が多い場合には希望通りにいかないことも多いと思いますので、注意が必要です。その他、管理人が平日しかいない場合などには週末に入居できないというケースも考えられます。
奨学金制度に優先入寮が組み込まれる場合
大学に寮がなくても、奨学金制度に優先入寮の権利が組み込まれている場合があります。例えば、フランス政府奨学金の奨学生の場合、キャンパス・フランスに申請をすることにより、CROUSという公的機関が運営する学生寮に優先的に入寮できる権利があります。この場合、複数の学生寮の中から空きがある場所に入寮できるようで、必ずしも留学先の最寄りの寮に入寮できるとは限らないようです。また、2人部屋などになる可能性もあるようです。
国際大学都市 (Cité Universitaire)への入居
パリの南部、パリ市の端に当たる部分には国際大学都市と呼ばれる場所があります。地図を見るに、おそらくパリ最後の城壁が取り壊された跡地に建てられたものと考えられ、日本館、インド館など世界各国の名前がついた40以上の建物があり、その中には巨匠ル・コルビュジェの設計したブラジル館・スイス館などもあります。
学生の場合は学士号取得者で、フランスの修士以上の課程に留学する人が対象と、入居のための条件がやや厳しい他、応募に必要な書類も多く、やや面倒な手続きが必要といった印象です。また、日本人留学生の多くは日本館に居住することとなるようですが、建物が古くあまり快適とは言えないという情報もネット上で見受けられます。
とはいえ、応募書類は日本語・英語・フランス語のいずれかで書かれていればよいとされており、言語面でのハードルは低いですし、入居者同士の交流(外国人留学生も含む)も盛んに行われているようで、ここでなければ得られない体験というのもありそうです。学生の他にも研究者や芸術家に入居資格があり、大学寮に入寮するのとは違った人々との出会いもあるのかもしれません。

自力で探す場合
学生寮に入れない場合、自力で物件を探すこととなると思います。自力で物件を探す場合、何語が使えるかというのが非常に大きなポイントになってくると思います。パリであれば日本人のコミュニティも大きく、日本語でも十分な情報が手に入るかと思いますが、地方都市に行くと日本人コミュニティの情報では不十分ということも考えられます。可能であればフランス語、最低英語での情報収集も行ったほうがいいかもしれません。
ここからは、僕が家探しをしたときに見つけた情報源について紹介していきたいと思います。
日本語で探す場合
日本語で物件を探す最大のメリットはやはり語学面でのハードルの低さでしょう。外国語で物件を探すというのはそれなりに大変ですし、その後の契約書類などを理解するのもなかなか難しいです。その分家賃がやや割高となることも多いほか、フランス語があまりできない場合にそこにつけ込んで不当な契約を結んだりする、モラルに問題の大家も一部にはいるようです。あくまでネット上の情報なので真偽のほどは不明ですが、相手が日本人だからと安心しないようにしましょう。
日本語の通じる不動産会社
LODGIS、EuroEstate、パリ不動産、リュテス不動産、Les Studio de Paris、京不動産、JAFIS不動産など、日本語で不動産の賃貸をできる会社はたくさんあります。学生向けのワンルームから駐在員向けのファミリータイプまで物件の種類も様々で、企業によって強みのあるタイプも異なるので、色々比べてみるといいかもしれません。ただし、家賃が高めの物件が多く、学生向けの物件数はあまり多くない印象です。
その他、旅行者向けにアパルトマンの一室を貸し出している企業が長期貸しをしている場合もあります。パリシェモア、Paris Vous Aimeなどの物件にも目を通してみるといいかもしれません。
インターネット上の掲示板
その他、インターネット状の掲示板のようなところに物件情報が出ていることも多いです。Ovniは月2回無料で発行されているフランスの日本語情報誌で、オペラ地区に集まっている日本食レストランや日系スーパーなどで配布されています。電子版も用意されており、紙面の後ろの方に物件情報が載っています。また、物件情報はこちらのページにもまとめられており、大抵の場合は大家の方も日本語が通じる印象です。

その他、jimomo ParisやMix B、パリ掲示板などにも物件情報が出ていることがあります。なかなか見つけにくいこともありますが、意外な掘り出し物が出てくるかもしれません。
まちなかの張り紙
パリの日系スーパー、京子食品の2階には小さな掲示板が設置されており、たまにこちらにも物件情報の張り紙が出ていることもあります。近くを訪れた際に確認するのも1つの手です。
英語で探す場合
僕自身はフランス語がある程度できるようになってから部屋探しをしたため、英語での部屋探しはほとんどしなかったのですが、日本語で調べるよりも部屋の選択肢は多くなると思います。また、英語で部屋探しをするのは留学生など外国人がほとんどだと思いますので、保証人を立てる必要がない場合も多そうです。
Uniplaces
Uniplacesはヨーロッパ各都市の物件情報を検索できるサイトのようなので、フランスに限らず長期滞在の部屋を探すときに役立つサイトです。パット見てみた感じは使いやすそうなサイトでした。
フランス語で探す場合
フランス語で探す場合、フランス人学生や各国からの留学生と同じ土俵で探すことになるので、競争が激しく条件のいい物件はすぐに埋まってしまうことも多いです。また、留学生は保証人に苦労することがあるため、一部の大家はフランス人の学生を好む場合も有り得そうです(こちらについては後日別の記事で詳述しようと思います)。一方で、フランス人は総じて日本人に対して好意的であることが多いほか、日本人が玄関で靴を脱ぐ習慣はフランスでもそれなりに知られているようで、部屋が汚れないので日本人に貸したいと考えている大家もいると噂に聞いたこともあります。このため、不動産会社や大家に連絡をしてみるときには日本人であるということを全面に押し出してみるのも1つの手かもしれません。
Lokaviz
Lokavizは少し前にも出てきたCROUSという機関が運営しているページで、学生向けの物件を検索することができます。僕自身は入居先を見つけてからこのサイトを見つけたので実際には使っていないのですが、学生向けの情報に限定されているので比較的探しやすいのではないかと思います。
PAP
PAPはDe particulier à particulierというサイトの通称で、個人で物件をやり取りするためのサイトです。物件情報しか載っていないので余計な情報に騙されることもありませんし、契約書のテンプレートなども用意されているという意味でそれなりにきちんとしているサイトだと思います。

不動産比較サイト
その他、SeLogerやA Vendre A Louerは不動産会社が物件情報を掲載しているサイトです。それなりに信頼性も高いと思われますが、仲介手数料などもかかりますし、フランス人の保証人を要求されることもありそうなイメージなので、少し使いにくいかなとは思います。
Leboncoin
Leboncoinはフランスの有名な掲示板サイトで、家の他にも車や家電、洋服など何でもやり取りされています。メルカリの延長線上みたいなイメージで問題ないでしょう。
運が良ければ掘り出し物のような物件に出会えることもありますが、希望物件にありつくのはなかなか難しいという印象を受けました。また、詐欺師も紛れ込んでいるようで、実際僕も部屋探しをしている途中で詐欺被害に遭いかけました。
こちらで部屋を見つけている日本人の方も少なくないようですが、細心の注意を払って使うようにしたほうがいいかと思います。
Facebookで探す
フランスではFacebookがよく使われており、Facebook上のマーケットプレイスでもそれなりの数の物件がやり取りされています。なかなか希望の物件を見つけるのは難しいですが、うまくいけば掘り出し物が見つかるかもしれません。
シェアハウスを探したい場合
僕個人としてはシェアハウスの物件をあまり探していないのですが、AppartagerやLa Carte des colocsといったサイトはフランス人の学生がシェアハウスの物件を探すときに使っているようです。
以上、今回はフランスでの物件の探し方をまとめてみました。参考になれば嬉しいです。