【博物館訪問記】あのコンコルドが2機見られる!ル・ブルジェ航空宇宙博物館に行ってきた
猛暑が落ち着いたということもあり、8月13日にLe Bourget(ル・ブルジェ)にある航空宇宙博物館に行ってきたので、どんな博物館だったのかということについてレビューをしていきたいと思います。先に結論から言ってしまうと、飛行機が好きな人であれば面白いところだと思いますが、パリが初めての旅行者が無理に行くような場所ではないと思います。
そもそもル・ブルジェってどんなところ?
パリにある4つの空港を紹介したこちらの記事でも軽くまとめているのですが、ル・ブルジェにはパリ近郊最初の国際空港がありました。パリから13km北東に位置し、より遠くにシャルル・ド・ゴール空港が完成するまでは商業用の飛行機が発着するのに使われていました。現在は大統領機の発着やプライベートの発着などに使われている他、パリ航空ショーが隔年で行われています。

アクセスはいまいち…
そんなル・ブルジェ空港のすぐ横にあるル・ブルジェ航空宇宙博物館。実際に行ってみるまでちゃんと知らなかったのですが、アクセスは正直言ってイマイチです。
RERのB線にLe Bourgetという駅があるのですが、そこから歩くと30分近くかかる模様。RER B線のGare du Nordより北側に位置するこの区間は治安がやや悪いことでも有名で、空港行きの快速電車以外は自分から乗りたい路線ではありません。
そのため、公共交通機関で行かれる際は152番、350番、610番のいずれかのバスを利用するのがいいでしょう。152番のバスにはメトロ7番線の北側の終点、La Courneuve 8 Mai 1945 駅から、350番のバスにはメトロ12番線の北側の終点の1つ前、Porte de la Chapelle 駅から乗ることができます。今回は350番のバスに乗りました。
駐車場も有料ですがあるようですので、車で行くことも可能です。人数が多ければタクシーやUberなどで行かれてもいいでしょう。

電車を降りたら前の階段を上がり、改札を出たら右側に進みます。地上に出たら左斜め前にバス停があります。350番のバスはこのバス停が始発で、シャルル・ド・ゴール空港までを結んでいます。1時間に2-3本と本数が少ないので注意してください。
バスの切符は事前に買っておいたほうがいいです。Zone 3まで有効な乗車券(mobilis, Paris Visite, Pass Navigoなど)を持っていれば問題ないですが、そうでない場合はTicket +と呼ばれる切符を予め駅の券売機で買っておくといいでしょう。コロナウイルス対策のため、現在は車内で乗車券を買うことはできませんが、代替措置としてSMSを送ることで運賃を支払えるサービスが使えるようになっています。

350番のバスは発車するといきなり高速道路A1を進みます。片側3-4車線のかなり交通量の多い高速なので、バスもそれなりにスピードを出します。場合によっては揺れますので、バスの時間よりも少し早めに行って座れるようにしたほうがいいでしょう。

高速を降りて3つ目、博物館の名前がついた« Musée de l'air et de l'espace »というバス停で降りれば博物館は目の前。迷うことなくたどり着けます。



事前にオンラインでチケットを買うこともできますが、行ったときは窓口でも全然問題ありませんでした。ちなみにチケットの代金は通常16ユーロ。25歳以下の場合、通常の展示は無料ですが、Boeing 747、Dakotaと2機のConcordeの内部を見学する場合は別料金がかかります(4-17歳は6ユーロ、18-25歳は8ユーロ)。その他、フライトシミュレーターの操縦やプラネタリウムの見学などのアクティビティには追加でお金がかかります。Paris museum passを持っている場合は入場券を買う必要はありません。
リニューアルが進む展示内容
展示エリアはかなり広く、全ての展示をじっくり見て回ろうと思うと3-4時間くらいかかってしまうかもしれません。僕は自分の見たいものを重点的に見て、その他は軽く見るというスタイルで2時間くらいで見学を終えました。
展示エリアは複数に分かれており、「空のパイオニア」「第一次世界大戦」「2つの世界大戦の間」「1939-1945年」「ヘリコプター」「宇宙」などのコーナーがあります。また、2機のコンコルドが展示されている専用のホールが用意されている他、屋外にも複数の飛行機が展示されており、その中にはBoeing 747型機やAirbus A380型の4号機(最終試験機)も含まれます。
肝心の展示内容についてですが、すでにリニューアルが終わっていた「空のパイオニア」「第一次世界大戦」のコーナーは非常にわかりやすくいいものとなっていました。この時期はフランスも航空機開発において中心的な役割を果たしていたためか、資料も豊富に用意されており解説も充実しています。肝心の解説はフランス語・英語の両方で用意されており、写真や模型もたくさん用意されていて理解がはかどりました。ただし、技術的な部分についても詳しく解説されていることも多く、フランス語・英語のレベルはそれなりに高いものとなっています。



空港のすぐとなりにある屋外の展示スペース
新型コロナウイルスの対策として、見学順が指定されていたため、第一次世界大戦のコーナーの次は一度屋外の見学となりました。屋外はBoeing 747型機(機内の見学も可能)とAirbus A380型機の試験機の2種類が目玉でしょうか。全部で15機ほど展示されていたかと思いますが、そこまで展示されている数は多くなかったです。
Boeing 747型機の機内はAir Franceで運行していた当時のシート・ギャレーなどが一部そのまま残されており、往年の姿を想像することができます。



なお、屋外の展示を見学しているタイミングで晴れ間が差し込んで来たため、非常に暑かったです。すぐとなりには現在も空港として使われているエリアがあり、見学している間にちょうど1機着陸してきました。

超音速機・コンコルドの内部見学
屋外の見学のあとは、第二次大戦中の飛行機を見学してからコンコルドの見学です。第二次大戦中に使われた飛行機としては、Dakotaの内部を見学できました。

コンコルドはイギリスとフランスが共同開発した商業用の超音速機。就航当時はパリ-ニューヨーク間を現在の半分程度の3時間半で結んでいたそうです。しかし、環境問題や価格の高騰、大量輸送と低コスト化の流れを受けて、2003年に全機が退役しました。こちらの博物館には試験機のConcorde 001とエールフランスで実際に使用されていた機体の2機が展示されており、コンコルドが2機展示されている博物館はおそらくここだけかと思われます。
試験機の方は様々な実験などが行われていたようで、日食を長時間観測するためにも利用されていたようです。一方の旅客機のほうは定員が少なく、ファーストクラスよりも高価な運賃設定がされていたようで、一部の富裕層以外には縁のない機体となっていたようですが、実際の機内を見学すると座席などはそこまで広くなく、現在の飛行機の座席は大幅に進化していることを感じさせられました。また、天井が低かったのが印象的でした(おそらく180cm程度)。



リニューアルされていない展示は正直微妙
コンコルドの見学の後は残っている「ヘリコプター」「宇宙」などのコーナーの見学です。ですが、こちらについては最初の2つの屋内展示に比べるとややお粗末な印象を受けました。展示パネルのスタイルなどもあまり統一されていなかったですし、体系だった説明はなく、それぞれの機体についての解説がフランス語で行われるにとどまっていました。航空宇宙博物館という名前ですが宇宙についての展示スペースはさほど大きくなく、やや期待はずれでした。


無理に行く必要はない感じ
ということで、まとめると冒頭でも書きましたが無理に行く必要はないかな、という感じの博物館でした。2機のコンコルドを見学できるなど、ここでないとできない体験もあるので、そういうのが好きな人は訪れると楽しいと思います。
2024年のパリオリンピックに合わせてGrand Paris Express17番線の駅もすぐ近くにできる予定で、それが開通すればアクセスが一気にしやすくなります。そのタイミングに合わせてリニューアルも続けていくようなので、全ての展示のリニューアルが終わったタイミングで訪れるとより楽しめるかな、と思いました。