【ついにここまで来た】パリ近郊の屋外全てでマスクの着用が義務化
最近の最高気温は25度前後で、1ヶ月前の猛暑は嘘のように涼しくなりました。それでも、日本にいた頃からあまりマスクをつける習慣がなかった私としてはずっとつけていると息苦しさを感じます。
つけなくていいような状況(屋外でまわりに人がいない、など)ではちょこちょこマスクを外して息抜きをしていたのですが、そんな中で凄まじいニュースが入ってきました。なんでも8月28日の朝8時からパリ市及び近郊の全域でマスクの着用が義務になるとか。
ということで、今回はこちらの情報について整理していきたいと思います。
増え続ける感染者数
7月頭にこちらの記事で外出制限が始まる前から夏になるまでの感染者数の推移を紹介しました。
このときは新規感染者・新規死者数がともに落ち着いた中で外出制限(ロックダウン)が解除されたこと、その後6月に1日3000人の新規感染者が出た日があったことをお伝えしました。しかし、この時点では感染者の増加はある程度抑えられており、流行が始まる前の状況に少しでも近づけるべく、EU主導の国境の開放などが行われていました。
一方で、7月に入った頃からバカンスシーズンの到来と共に徐々に感染者数は増え始めました。ロックダウンが行われていたときと違い、死者数はさほど増えませんでしたが、国や各自治体は感染の拡大を抑えるべく対策に乗り出しました。こちらのブログでも屋内でのマスクの着用が義務となったことや、屋外でも人が密集しやすい場所でマスクの着用が義務付けられたことを紹介しました。
急増をうけたマスクの着用義務化
そして今日、これらのマスク着用義務化の適用範囲がさらに拡大されることが発表されました。パリの場合、28日の午前8時より屋外の任意の場所でマスクの着用が義務となります。これはパリ市の他、周辺の3県(セーヌ・サン・ドニ県、オー・ドゥ・セーヌ県、ヴァル・ドュ・マルヌ県)でも適用されることが発表されており、パリ市の周辺15km圏内で適用されると考えて問題ないかと思います。もちろん(?)、違反者には135ユーロの罰金が課されます。135ユーロという数字に何の根拠があるのかよくわからないのですが、もはや見慣れた数字となってきました。同様の措置はマルセイユでも取られているようです。
#COVID19 | 😷 À compter du vendredi 28 août 8h, généralisation de l’obligation de port du masque à l’ensemble de l’espace public sur Paris et la petite couronne par le préfet de Police et les préfets de la Seine-Saint-Denis, des Hauts-de-Seine et du Val-de-Marne. pic.twitter.com/wD2RluciBY
— Préfecture de Police (@prefpolice) 2020年8月27日
背景には感染者数の増加が続いていることがあるようです。ここ2ヶ月ほど、土日を中心に感染者数などのデータが更新されない日があるので、2日分・ないし3日分の感染者数がまとめて発表される場合があることを考慮する必要がありますが、ロックダウン解除後以降の新規感染者数の推移は下のグラフのようになっています。7月中旬ごろから全体的に右上がりになっており、特に今週は1日3000人から6000人程度と激しく増加しています(フランスの人口は日本の半分程度)。ロックダウン中の最多が3月31日の7578人であることから、感染者数のみを見ればロックダウン中とあまり変わらないペースと言ってしまってもいいでしょう。もちろん、重症者の割合やICUの使用率などは大きく異なっていますし、PCR検査の実施数なども桁違いに増えているので同じ土俵で比べることはできませんが、感染者数が増加傾向にあるという事実は変わりません。
もちろん各県ごとに状況は異なりますが、一部の地域のみで感染が再拡大しているというわけではありません。県ごとの流行状況を下の地図でみると、様々な場所が赤ゾーン(より流行しているエリア、全体の約2割に当たる19県)となっていることがわかります。フランス本土の全県が6月中旬に緑ゾーンへと移行していたことを踏まえると、ロックダウン解除1ヶ月後の時点よりも感染が再拡大しているのは明らかです。

赤くなっている県がウイルスの活動が活発な地域で、パリ近郊とフランスの南部を中心にウイルスが再流行していることがわかります。
感染者1人が平均して新たに何人に感染させるかを示す再生産数は、5月末に0.7まで下がっていたにも関わらず、現在は1.4を超えているということで、新規の感染者数は増える一方です。
公共空間以外でもマスクの着用が義務化
また、これらに伴い、学校や職場などでも9月1日からマスクの着用が義務となるようです。屋内の公共空間、学校・職場、屋外空間の全てマスクの着用が義務となると、マスクを着用しなくてもよいのはほぼ自宅だけとなってきます。少し嫌な気分。

ロックダウン前まではあれだけ「マスクの着用は意味がない」って言ってたのにも関わらず、ここに来て急激にマスクの着用を義務付けていることに疑いの目を向けている人も多いようです。マスクの着用を義務付けることの実効性もよくわからないので、本当に妥当な政策なのかはよくわからないですが、当面の間は従っておくしかなさそうです。どうやって職場でのマスクの着用義務違反を取り締まるのかは少しだけ気にあります。