【留学】フランスでの寮生活って…?~初めての一人暮らし~
ENPCの寮について
さて、今日は僕が住んでいるENPCの寮についてお話をしたいと思います。ヨーロッパの、あるいはフランスの寮生活一般には当てはまらない話も多いかもしれませんが、参考になれば幸いです。
ENPCはパリの郊外、中心部からは電車(RER A)で20-30分程度の場所にあるのですが、寮は学校の建物から道路を挟んだ向かい側にあり、エントランスから学校の敷地までは30秒くらいで着きます。本当に近いのでついついギリギリに部屋を出ることが多いのですが、学校の敷地に入ってから教室までが意外と長いのでうっかりしてると授業が始まったりしていることもたまにあります。
元々ENPCはパリの中心部にあったのですが、2000年頃に今の地に移転してきました。その際にOBの方々のご協力のおかげで寮が完成したようで、基本的にはENPCの学生のみが暮らしています。正確には数えていませんが、今住んでいる建物だけで部屋の数はおそらく150程度あります(4階建て)。
フランスには、CROUSという生協のようなところが運営している学生寮も全土にありますが、今住んでいる寮はCROUSの寮ではありません。
暮らしている寮は新入生向け
そんなENPCの現在の寮ですが、おそらく新入生向けの寮だと思います。大部分が準備学級を終えたばかりの1年生で、その中に2年生からENPCに編入してきた外国人留学生が混ざっているという構成になっています。
準備学級の抑圧から開放されたということもあってか、グランゼコールのフランス人、特に1年生はパーティーを行っていることも非常に多いです。外で騒いでいたり、廊下で騒いでいたりということもあるので寝るときに困るようなこともありますが、これは世界共通なのでしょうか。
取り合いになる1人部屋
さて、そんな寮ですが、1人部屋(専有面積約18㎡)と2人部屋(専有面積約35㎡)があります。2人部屋は部屋の広さこそ広いものの、それぞれに部屋が用意されているわけではありません。いずれも1Kの作りになっていますし、キッチンやシャワー・トイレなどは全て共用です。お互いのやってることが丸見えですし音も全て筒抜けです。家賃は毎月100ユーロほど安いのですが、日本とはかなり異なる環境で生活している以上、非常にストレスの溜まりやすい状況になっているので、1人の時間が取れないとしんどいだろうな、と思っています。そのため、個人的には可能な限り1人部屋のほうが圧倒的にいいと思っています。
大体の人が考えることは同じようで例年1人部屋の希望者のほうが多く、部屋の数が足りなくなることがほとんどのようです。そのため、毎年一定数の人が1人部屋を希望したにも関わらず2人部屋に割り当てられる、という事件が起こるそうです。元からすごい親しい友人などであればいいかもしれないですけど、寮の部屋で落ち着けないのは非常にしんどいですね。自分は参加したくも無いのに、部屋でルームメイトが毎晩のようにパーティーを開催するといった事例もあるようで、そのような部屋に割り当てられた人は寮に入居した直後から新居を探し始めるという人もいるようです。
幸いにも僕は1人部屋を割り当てられたので、今もこの寮で暮らしています。パリ市内でないということもあってか1人部屋にしては十分な広さがあると感じています。築20年くらいで、日本ではそこまで新しい部類ではないと思いますが、歴史的な建物がたくさん残っているフランスで考えるとかなり新しい部類に入ります。

寮に備え付きの家具・設備
フランスで部屋を借りる際はある程度家具が備え付けられてるのが一般的なよう(一軒家などの場合には家具がついていない場合もあります)で、ベッド、机、椅子、棚、冷蔵庫、カーテンなどは元から備え付けられていました。また、洗濯機・乾燥機は共用のものが3台設置されており、有料(洗濯1回2.80€、乾燥1回1.50€と日本のコインランドリーに比べればかなり高価ですが街なかよりは安い)ですが自由に使うことができます。留学生活の場合、短期間(2-3年程度)で不要になる(帰国するため)ことがわかっているので、冷蔵庫や洗濯機、ベッドなどの大きな家電・家具を買わなくていいのは非常にありがたいです。一方、電子レンジや調理器具、食器類などは備え付けられていませんでした。

冷凍スペースが少し小さくて不満なのですが、キッチンまわりは基本的に不自由なく使えています。食材棚や食器棚など収納も多く、外出制限で買い物に行く頻度を少し減らしてまとめ買いしても十分においておく場所があります。COVID-19に伴う外出制限の期間中はできるだけスーパーに行く頻度を減らしたかったので、たくさんの食材を置いておくスペースがあったのは非常に助かりました。
なお、家具が備え付けられているかどうかによって賃貸契約の期間が変わってくるようです。家具なし物件の場合は契約期間が3年、家具あり物件の場合は契約期間が1年となっているようで、その都度契約を更新していくスタイルとなっています。

洗面所の方では、シャワーカーテン、トイレットペーパー1ロール、新しいシャワーヘッド、新しい便座なども入居の際に用意されていたため、当日すぐに買いに行く必要がある、というわけではなかったのは助かりました。しかし、前の入居者が使っていたシャワーヘッドや便座などがそのまま設置されており、自分で交換するのはやや面倒でした。
シャワースペースがやや狭く、浴びている最中にシャワーカーテンが張り付いてくることがあったので、やや不快でしたが、マグネットを使って下を固定するようにしたらあまり張り付かないようになりました。

地下の駐車場の一角にゴミ捨て場が設置されており、ゴミは24時間いつでも捨てに行くことができます。非常に便利なのですが、ゴミ捨て場は非常にハエが多く、あまり清潔ではありません。分別は家庭ごみ、リサイクル用、ビンの3分類(この他に乾電池や電球などは別回収)となっています。ゴミの分別ルール自体はあまり難しくないのですが、日本にいた頃と違う部分も少なくない(食品の包装材は原則家庭ごみ、など)ので戸惑いました。リサイクルできるものは全て同じところに捨てるので、紙類とプラスチックを同じ袋に入れて捨てることになります。
情報によると、以前は各自の部屋の中もスタッフによって週に1度掃除されていたようなのですが(ホテルみたいですね)、現在は共用部分のみ清掃が入るようになっています。個人的には、部屋にいるタイミングで清掃に入ってこられたり部屋が散らかっているタイミングに部屋に入られたりするのは嫌なので、寮の部屋の清掃はなくてもいいのかな、と思っています。
比較的抑えられた家賃
なお、家賃は設備費や水道光熱費、インターネットの代金など全て含めて毎月540€ほどです。パリは特に家賃が高く、中心部で部屋を借りようと思ったら月1000€ほど(12-13万円)かかることもざらにあります。安い物件も無いことにはないのですが、屋根裏で天井が斜めになっていたり部屋が非常に狭かったりすることが多いため、部屋の広さなども考慮するとこの家賃は非常に安い部類に入ります(寮という性質上、稼働率がほぼ100%というのは大きいかもしれないです)。さらに、学生なのでフランス政府の補助金(Allocation)をもらうことができており、実質的な家賃はさらにもう少し安いです。この手続きが非常に面倒なので、仕組みなども含めてまた解説したいと思います。
一方、フランスでも地方都市ではここまで家賃は高くないようで、400€程度払えば十分な大きさの部屋を借りられるとのことでした。日本でも東京は家賃が高いのと同じような現象が起こっているようですね。家賃の上昇は賃金の上昇を大幅に上回るペースで続いているようで、フランスでも大きな問題となっているようです。
こんな背景もあってか、フランス人はシェアハウスをしている学生が非常に多い印象です。
非常にずさんな管理会社の対応
さて、部屋はそれなりに清潔ですし、あまり不自由なく暮らせているのですが、この寮では重大な問題が1つあります。非常にずさんな管理会社の対応です。
この寮は、大学寮をフランス全土で管理・運営している民間の企業によって運営されています。その事自体は別に問題ないのですが、対応があまりにもずさんなので非常に困っています。ここからは、ずさんな対応の例として体験談をいくつかご紹介したいと思います。
返ってこないメール
昨年の11月に電熱ヒーターが突然壊れてしまい、料理ができなくなったことがありました。そのときは、管理会社にメールを1本送ったところ、次の日には修理に来てくれたのでよかったのです。近くにレストランなどもあまりないですし、大学の食堂は昼間しかやってないので、料理ができないのは死活問題ですからね(とはいえ、授業で不在にしている間にいつの間にか修理が行われていたので、乾かしていた食器などが机の上に移動されていました。事前に修理日程を予告してもらえるとなお良かったのですが…)。
しかし、その後は同じメールアドレスにメールを送っても一切返信がありません。昨年末に住宅保険の期限が来たため、管理会社から更新された後の住宅保険の証書を送るように言われたので、1月に送ったのですが、未だにそのメールには返信がなく、毎月自動で送られてくる家賃の請求書には住宅保険の証書を催促するメッセージが書かれています。住宅保険の証書が受理されているのかされていないのかもわからないまますでに半年が経過しています。
また、目立たない部分で壁を少し汚損してしまったので、早いうちに相談するべくメールをしたのですが、そちらにも返信は1ヶ月以上ありません。退去のときに揉めたくないので早めに解決しておきたいのですが、COVID-19の影響で管理人も不在にしているので何もできず困っています。管理人が不在の間の対応として、管理会社のメールアドレスに要件を書いてメールをすれば確認してもらえるはずなのですが、一向に返事が返ってくる気配はなく、何もできないままでいます。
修理されない共用設備、受け身な対応
その上、共同玄関のロックやエレベーターが12月からずっと壊れており、一向に修理される気配はありません。特に共同玄関のロックは壊れたままにしていると誰でも入れるようになってしまうため、早急に直してほしいのですが直る気配はありません。エレベーターについては、フランス式1階(日本式2階)の部屋なので普段は特に困らないのですが、スーツケースなどの大きくて重い荷物があるときは非常に不便です。
新型コロナウイルスに伴う外出制限に関する対応としては、初期に共用の洗濯機を使用中止にされるという事件もありました。どうやら洗濯機の維持管理については寮の管理会社から更に別の会社に委託されているようなのですが、外出制限に伴いメンテナンスができないため、洗濯機の電源を落とすという措置に至ったようです。洗濯機が突然停止した後に寮の管理会社から1本のメールが届いたのですが、そこには「我々の決定ではないため、この決定は覆せません」と書いてありました。結果的には学校側に抗議をし、学校側から管理会社に掛け合ってもらうことで「故障時の対応などはしない(できない)」という条件付きで洗濯機を再度使えるようになったのですが、1週間近くの間洗濯機が使えませんでした。管理会社には寮にとどまっている人のことを考え、委託先の会社と交渉してもらいたかったと思っていますが、現実にはそのようなことはありませんでした。
突然の入室、守られないプライバシー
他にも、点検・修理などの告知が実施の直前(最も遅いときで前日)にならないとされない、それらの点検などの際、授業等で不在にしていると勝手に部屋に土足で入ってくるなど、やり方に疑問を覚えることは多いです。また、友達には家賃補助の申請のための書類を管理会社になくされ、有耶無耶にされているにも関わらず家賃はきっちり請求されている、という人もいます。相手にはしっかりと要求するくせに自分は管理が雑な対応となっています。
受理されているのかわからない退去の連絡
昨年8月末にこの寮に入居し、1年で退去する決まりとなっているため、新しい家を探して引っ越すことにしたのですが、退去日の連絡を送っても一向に返信が返ってきませんでした。コロナウイルスが流行している昨今の情勢に鑑みてメールでの連絡をお願いします、ということを伝えられていたのですが、こちらのメールはまともに読まれていないようです。その証拠に、2週間後には退去日をメールで教えて下さい、と連絡が来ました。「受信トレイを確認していただければわかると思います」と書きたい気持ちを堪えてもう一度返信しました…。
忘れてはいけないこと
以上、管理会社に対する不満をいくつか書いてみました。とはいえ、相手はフランス人なので、日本の常識は一切通用しません。日本じゃないのでそれが当たり前、そういったことに対応できなきゃいけない、というメンタリティで来てもおそらくストレスはたまると思います。しかし、何事もめげずに自分の主張を通すことが非常に重要なので、諦めずに戦ってみようと思います。