【フランス】【留学】グランゼコールってどんなところ?大学との違いは?
僕が今留学をしているÉcole nationale des ponts et chaussées (ENPC, 直訳は国立土木学校)は、フランスにあるグランゼコールの1つです。…って言われて何を言ってるのかを分かる人は、正直この記事を読む必要はないと思います。今回の記事では、グランゼコールとは何なのか、ということを解説していきたいと思います!
バカロレア
先程、グランゼコールについて解説すると言っておきながら、全然違うものがタイトルに来ていますが、フランスの教育システムは日本と大きく違うので、順番にゆっくり説明していきます。なお、これらの話はフランス人の友人に聞いたものをまとめた話なので、大体は合ってると思いますが細かい部分が間違ってるかもしれません。あしからず。
バカロレア(baccalauréat)というのは高校卒業後に受ける試験で、フランスではこれに合格しないとそれ以降の高等教育機関に進むことはできません。しかし、バカロレアを受けずに高校を卒業することは可能なようで、特に大学等への進学率がそこまで高くなかった時代はそのような人も多かったようです。バカロレアはさらに細分化されているようですが、大まかに普通バカロレア、技術バカロレア、職業バカロレアの3つに分かれているようで、後者2つは日本で言うところの高専・専門学校に相当するところを卒業したことを認定するもののようです。
このバカロレアを持っていることが高等教育期間に進学する条件ですが、逆に言えばこれを持ってさえいれば大学に進学することができるようです。とはいえ、近年は進学希望者も多く、定員の都合から全員を受け入れられない場合もあるようで、そのような場合にはバカロレアの成績が大切になってくるようです。

大学とグランゼコール
大学のシステムは日本に似ている
バカロレアを取得すれば大学に進学することができるとお話しました。フランスの大学システムは学士(license)が3年、修士(master)が2年、博士(doctorat)が3年なので、日本と比べると学士が1年短くなっているようです。しかし、実際には長期インターンシップなどが組み込まれていることが多いようで、それらも含めると学士を4年で卒業したり、修士を3年で卒業したりする、ということも一般的なようです。
これらはバカロレア(Bac)取得後の教育年数で数えられることも多く、学士はBac+3、修士はBac+5、博士はBac+8となります。後述の通り、フランスには別のシステムも存在するので、バカロレア取得後何年間教育を受けたか、という数え方が一般的に受け入れられています。
希望すれば全員が大学に進学することができるとお話しましたが、そのまま卒業できるというわけではないようです。進級基準はそれなりに厳しいようで、入口が広く多くの人を受け入れる分、授業についていくことができずに退学する学生も一定数いるようです。日本の方が入学者が卒業できる割合は高そうですね。

フランス独自のシステム「グラン・ゼコール」
一方、バカロレア取得後、大学に行かず別の教育機関に行く人が一定数います。グランゼコール(Grands écoles)への進学を目指す人達です。グランゼコールというのはフランス独自のエリート養成システムで、各界に優秀な人材を多数しています。
グランゼコールに進学するためには、バカロレア取得後に準備学級(Classes préparatoires aux grandes écoles)に進学する必要があります。これは一部の高校の敷地内に設置されているようですが、普通の高校学級とは全く別の扱いをされているようで、カリキュラムや雰囲気なども全く違うとのことです。また、この準備学級も人数が限られており、入学するためにはバカロレアでかなり良い成績を取る必要があるようです。
準備学級で2年間勉強詰めの日々を送ると、グランゼコールの試験を受けることができます。ここで試験に合格すると、やっとグランゼコールへの入学が認められるのですが、この試験の倍率も非常に高いようです。そのため、2年間の準備学級を経てもグランゼコールに入学できない場合もあり、そのような場合は準備学級で留年し、再度試験を受けるか(3回まで受けられます)、大学の学士課程の3年次に編入するのが通例となっているようです。準備学級が2年なのでBac+2、その後グランゼコールが3年なのでBac+5となり、グランゼコールを修了すると修士相当とみなされます。

グランゼコールの特徴
グランゼコールは、1747年に最初のグランゼコール(僕が在籍しているENPC)が設立されてから主に実務者を養成する役割を担っています。そのため、講義を担当される先生方には私企業などに務められている実務家の方も多く、研究機関である大学の講義とはかなりスタイルが違っています。
グランゼコールの入試は、理系の場合特に数学に重点が置かれているようで、筆記の試験に加えて試験官に数学の問題を解説するという口頭試問も用意されています。これを受けて準備学校の2年間では数学を重点的に学習しており、フランス人の理系グランゼコールの学生は総じて数学が得意です。また、議論において自分の主張を展開するのが上手な学生も非常に多く、グループワークなどをしていてなかなか苦労させられます(もちろんフランス語力の問題もありますが)。
学生は、真面目に勉学に励んでいる人もいますが、準備学級での抑圧からの解放を満喫し、学業はそこそこに課外活動に打ち込んでいる、という人も多数いるようです。サッカーやラグビー、バレーボールなどのグランゼコール対抗戦などもあったりするようで、それに向けて熱心に練習している学生もいます。
ENPCについてのより詳しい紹介は、また後日別の記事で行うつもりです。