【体験談】語学学校での学びをより大きくするために【5ヶ月でDELF B2】
1週間ほど更新があいてしまった間、フランスでは再び気温が上がってきており、一部の都市では9月の最高気温記録を更新したようです。また、フランスの新型コロナウイルス感染者が1日で1万人以上増える日も出てくるなど、感染拡大は止まりません。
さて、今回はフランス語学習についての体験談です。外国語学習をする際、効率的に勉強するために最も有効な手段の1つである語学学校。とはいえ、語学学校に通っているだけでは中々話せるようにはなりません。1年語学学校に通ったのに、思ったように成果が出ないという人も少なくないと思います。
そこで、フランス語学習を始めてから5ヶ月でDELF B2に合格した僕の体験をもとに、どうすれば効率よく語学学校での学習が進められるのかを解説していきたいと思います。フランスに来るまでは « Bonjour » « Merci »くらいしかフランス語を知りませんでしたが、5ヶ月の語学学校生活の後にはフランスの教育機関で授業を受けており、大きな問題はなく全ての単位を取りきることができたため、短期間で語学力を上げるための参考になるかと思います。
なお、この記事ではCEFRのレベル(A1, A2, B1, B2, C1, C2)を用いて言語レベルを評価しています。CEFRって何?という方はこちらの記事をチェックしてみてください。
自分のレベルにあったクラスに入る
語学学校に通う場合、集団授業を受ける場合と個別の授業を受ける場合があると思います。もちろん、個別の授業を受けたほうが指導は手厚くなりますし、自分にあった授業をしてもらうことができるので、上達は早くなりやすいですが、その分費用もかなり高額になってしまうのが悩みどころ。
実際問題、語学学校に行くというだけでかなりお金がかかってしまうので、そこでプライベートレッスンだけ受けられるようにするというのはかなり難しいところ。
それでも、集団授業だからといって効率的な学習ができないわけではありません。自分のレベルに合ったクラスに在籍することができれば、プライベートレッスンと遜色ない効果を得られます。
ここでトラップとなってくるのが、自分に合ったレベルというのは常に変化していくということ。どこの語学学校もある程度レベル別になっており、入会時に実力をチェックしてクラスを割り振っていると思うので、入会時には適切なクラスに割り振られていることと思いますが、問題はその後。
言語学習において人によって進度に差があるのは当たり前です。例えばフランス語学習の場合、文法や単語が近いほかのラテン系言語(スペイン語やイタリア語など)や英語を学習したことがある人と、最初の外国語がフランス語という人ではどうしても理解度に差が生まれてしまいます。また、人によって外国語学習に割くことのできる時間も異なるでしょう。そのため、授業が始まって1ヶ月もすればクラスの中で進度が早い人と遅い人が出てくることとなります。A2からB1まで1ヶ月で進める人もいれば、3ヶ月以上かかる人もいます。
この状況が続けば、進度が早い人は授業が遅いと感じるようになり、授業から得られるものはほとんどなくなってしまうでしょう。一方、進度が遅い人は授業についていくのが難しくなり、授業に出席するのがただひたすら辛くなってしまうかもしれません。
そのため、しばらく経ったらクラスを組み替える必要が出てきます。この際、クラスの数が多く、選択肢がたくさんある場合は適切な組み換えを迅速にできる可能性が高いですが、クラスが少ないとレベルの違う人が同じクラスに混在しやすくなってしまいます。このため、生徒数がある程度多く(150~200人以上が目安)、1クラスの人数が少ない(15人以下が目安)語学学校にすると常に自分のレベルにあった授業を受けられるようになるでしょう。1年間クラスのメンバーが同じ、といった場合は差が開いていく一方となってしまい、誰も幸せにならないと思います。
ちなみに、僕の通っていたCAVILAMは、秋~春は約300~500人、夏になると1000人近くの人が通っていました(2020年は例外)。クラスの選択肢も非常に多く、A2やB1といったそれぞれのレベルでいくつものクラスがありました(多いときはB1レベルに5個以上クラスがありました)。クラスのレベルが合わないと先生が感じたら(自分で感じた場合も交渉次第で)1週間単位でクラスを変えることができます。
CAVILAMの場合、レベル評価はCEFRよりもやや細かく8段階(A1, A2, B1, B1+, B2, B2+, C1, C2)に分かれており、B2やB2+あたりまでは2ヶ月で1つレベルがあがるというのがおおよその目安です(A2→B1が2ヶ月、B1→B1+が更に2ヶ月、といった具合)。
そんな中、僕の場合は5ヶ月の間に4回クラスを変えました。このため、本来であればA1からB2まで8ヶ月はかかるところを5ヶ月で到達し、無事に試験に受かることができた、という形になっています。ENPCに通うようになるまでにフランス語レベルをあげないといけないという危機感が強かったこと、英語やスペイン語の学習経験が合ったことから、特に滞在前半にどんどんとクラスをあげていくことができました。
クラスを上げる条件は授業が100%わかることではない
何回もクラスをあげていく中で、「授業を100%理解している必要はない」ということを学びました。これは語学学習に限らず一般的に言えることだと思いますが、少し背伸びをしているくらいがたくさんの成果が得られます。このため、自分のレベルよりも周りのレベルが少しだけ高い、という状況を常に作り出すのがより短期で結果を出すための近道になります。
常にこの状況を作り出すため、授業の理解度が80%を超えたと感じたら、クラスの変更を検討してもいいと思います。そこから先の細かい部分まで全て理解できるようになるにはかなり時間がかかってしまうため、そこにこだわるべきではないと思います。
先生に自分の実力を適切に把握してもらうために
CAVILAMの場合、自身の実力とクラスのレベルが合ってないと先生が判断した場合、クラスの変更を打診される場合があります。この時、先生が自分のレベルを適切に把握できないと必要がないのにクラスを落とされてしまう、あるいはクラスを変えるべきなのに同じクラスに残り続けてしまうといったことがありえます。
このような事態を防ぐため、授業には積極的に参加するようにしましょう。先生は授業中の様子を見ながら実力を判断するので、授業に参加すればするほど適切にレベルを評価してもらえるようになります。
日本人には間違えるのが怖い、恥ずかしいと感じ、授業中の発言などをためらってしまう人も多いと思いますが、そのように感じる必要はありません。語学学校で出会った人とその後も付き合いが続くケースはさほど多くない(旅の恥はかき捨て)ですし、何よりできないことをできるようにするために通っているので間違えて当たり前です。間違えることが問題なのではなく、それを復習しないことが一番の問題であり、間違えたことから学習すればそれは素晴らしいことです。
大体の人は間違えを積み重ねることで身につけることができるようになります。授業に参加しないと間違っていたことに気が付かないままになってしまうかもしれません。「聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥」という言葉の通り、授業には積極的に参加し、わからないことがあれば積極的に質問するようにしましょう。

何が難しいかを事前に把握する
言語学習において、学ぶ言語それぞれに難しさがあります。例えばフランス語の場合、多くの日本人が苦戦するのは発音・リスニングと動詞の時制・活用だと思います(実際僕も未だに間違えまくります…)。一方、文字はアルファベットを使うので、アラビア語やロシア語などを学ぶ場合とは異なりそこまで勉強する必要がありません。
このような「力を入れるべきポイント」を事前にしっかりと把握しておくことは非常に重要です。また、これまでに他の外国語を勉強したことがある場合、その言語を軸に相対評価で考えるのも非常に有効でしょう。僕の場合、フランス語は英語・スペイン語に無い音がいくつも出てくるので、発音・リスニングは鬼門となることが予想できました。一方時制や活用の概念は英語にも存在しますし、スペイン語と比較したらかなり似ていたため、スペイン語はかなり忘れていたとはいえ初習の人よりはスムーズに勉強できるだろうと思いました。
このような特徴をしっかりと抑えておくと、語学学校の集団授業に加えて自習するべき内容がわかるようになります。例えばCAVILAMの場合、対話を重視する授業スタイルや充実した設備を用いたリスニング教材の活用など、授業内の特徴に加え、ホームステイ先のご家族と食卓をするという機会があったため、リスニング・スピーキングの機会は十分にあり、たくさん練習できた一方で、授業内での文法事項の解説はあまり多くなく、フランス語文法を自習しないといけない形でした。
日本人にとって難しいポイントと他の国の人にとって難しいポイントは異なるので、授業で扱ってもらえないポイントについては自分で補ってあげる必要があります。
学びたい言語に接する時間を増やす
最も大切といえる部分はここ。語学学習において近道はなく、費やす時間を増やし、勉強時間の質を上げるしか語学を習得する道はありません。
海外の語学学校に通うことで、質の高い外国語学習時間を増やしやすいのは事実ですが、語学学校の授業を受けているだけでは時間は不十分です。
CAVILAMの場合、平日は午前8時45分から12時までと14時から16時までのみが授業時間だったので、まだまだ時間がありました。昼休みに2時間もすることはないですし、16時に授業が終わっても晩ごはん(ホームステイ先では19時半でした)までは全然時間があったので、基本的に昼休みに1時間、授業後に2~3時間は自習するようにしていました。
この時、授業の復習をしていたのはもちろん、自主的に文法やリスニングの教材に取り組むようにしました。このような授業外の時間での積み重ねがあったからこそ、スムーズに学習を進められたと思います。
やる気がある人と積極的に情報を交換する
非常に大切なのがこれ。人は弱いので(弱くない人もいますが)、自分1人で努力をし続けるのは中々難しいと思います。僕も1人だと中々勉強できないタイプです。
そんな僕でも、一緒に勉強をする仲間がいたためモチベーションを高く保ち続けることができました。同じ大学から同じプログラムで留学した仲間と授業の様子や学習の進度、使っている教材など、ありとあらゆる情報を片っ端から共有していきました。
自分と同じような境遇のあいつは頑張っている、俺も負けたくない、というのが毎日のフランス語学習の原動力になっていたと思います。上で書いた図書館での勉強も1人でしていたわけではなく、友達も一緒にしていました。最初に語学学校に入るときに友達がいなくても授業を受けていく中で友達ができることはありますし、周りの人に自分の目標を宣言するだけでも効果はあるかと思います。海外の大学に行きたい、海外の書籍を読めるようになりたい、外国人と喋れるようになりたい、外国人と結婚したい…。勉強の動機は様々だと思うので、動機が似ている人を見つけられるとよりよいでしょう。
おわりに
外国語学習は一朝一夕に成果が出るものではありません。道のりは長く、その長い道のりを駆け抜けたと思ってもまた新たな山が出てくる、終わりのない旅です。意識を高く持ち続けるのは中々難しいですが、その分山を乗り越えたときの喜びも大きいです。
今回の記事は語学学校に通う前提で書いてきましたが、そうでない場合でもこれら4つのポイントのエッセンスは同じです。外国語学習で悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。