【フランス】【新型コロナ】2020年末状況まとめ

以前の更新からしばらく間が空いてしまいましたが、本日より更新を再開していきたいと思います。よろしくお願いします。

2020年もまもなく終わりということで、フランスの新型コロナウイルスの流行状況のまとめを記しておきたいと思います。以下の記事も参考にしていただけると嬉しいです。

厳しい状況が続いた10~12月

はじめに、フランスで新型コロナウイルスの感染が顕著になった2月末から年末(記事執筆の12月28日時点)までの1日あたりの新規感染者数・新規死者数をグラフにしたものがこちらです。

Santé publique Franceより
12月になっても感染者数はあまり減っていません。

前回の記事で10月中旬からパリで夜間外出禁止令が出たことを発表しましたが、そのころには感染者数・死者数共に増大し続けている状況でした。21時以降翌朝6時までの外出が制限され、商店やレストランの営業も21時までに制限されていました。10月後半はレストランでは1テーブルにつき6人までという人数制限がありましたし、劇場や映画館では1席ごとにしか着席できないという制限がありました。

二度目のロックダウンへ

そのような制限が導入されたものの10月中に感染者が減少する兆しが見られなかったため、10月28日にマクロン大統領が演説を行い、10月30日からのロックダウンの導入を宣言しました。

マクロン大統領の演説

その翌日、29日にはカステックス首相及び閣僚5名による共同会見が行われ、ロックダウンに際しての感染拡大措置の追加説明が行われました。

上の動画と在フランス日本国大使館が在留者に向けて配信したメールを参考に、10月30日以降導入された感染拡大防止策を以下にまとめます。

  • 3月と同様に、Attestationの携行を伴った次の理由以外での外出を禁じる(ロックダウン)
    • 食料品の買い出し
    • 自宅と職場間の通勤(ただしテレワークが不可能な場合のみ)
    • 医療従事および医療サービス利用
    • 必要不可欠な家族のケア(健康上脆弱な人、体の不自由な人等のケア、子供の看護)
    • 子供の学校への送り迎え
    • 法的あるいは行政的な目的のための公共施設利用。
    • 外気を吸い、ペットを散歩させる等、個人の外出(最大1時間で1キロ以内)
    • 1人で行われるスポーツ(ジョギングなど)は認められる(スポーツジムや屋外での集団で行われるスポーツ(サッカーなど)は禁止)
  • 最初のロックダウン(3月中旬~5月中旬)と違い、公園、広場、ビーチなどは閉鎖されない
  • 最初のロックダウンと違い、行政窓口は引き続き開かれる。Attestationの携行により、必要不可欠な行政窓口へ行くことができる。また、国家試験、車の免許取得のために試験会場へ行くことができる。
  • 別の地域へ旅行すること、地域外の友人や家族の家に行くことはできない。ただし、今週末に万聖節のバカンスから戻ることは許される。
  • 該当者が常時携行すべきAttestation(特例外出証明書、宣誓書)は2つある。
    • 1. 雇用者から提供される証明書
    • 2. 教育機関から提供される証明書
      職業上での移動には、職業証明書あるいは雇用主が作成した職業のjusticatif(証明)を合わせて携行する必要がある。
    • 上記のAttestationを携行せずに外出した場合は罰金が課される。
      • 初回135ユーロ(期限内に支払いがない場合は375ユーロ)
      • 15日以内の再犯は200 ユーロ(期限内に支払いがない場合は450ユーロ)
      • 30日以内に3度目の違反は3750ユーロと6ヶ月間の禁固刑。
  • 閉鎖されるサービス、商業施設のリスト、また営業を継続することができるサービス・商業施設のリストは、政府の公式ホームページに公表される。
    • コンビニ、スーパー、駐車場、クリーニング店、本屋、TABAC(まちなかのタバコ屋)、情報通信機器店、レンタカー店などは3月同様営業を継続できる。
  • 3月と異なり、卸売業店、ホテル、宿泊施設、小学校・中学校・高校および関連教育機関は閉鎖されない。公共交通機関は運転が継続される。
    • 学校教育施設は前回のロックダウンで閉鎖されたが、学習に遅れが生じたり子どもたちの心身面での健康に課題が生じたりしたことに鑑み、より強化された衛生措置のもとで活動が継続される
    • 大学・高等教育機関の授業は原則オンラインでの実施。実習や特別な機材などが必要な場合のみ対面での授業も認められる。
    • ホテルは営業可能だが、ホテル内のレストランは閉鎖。ルームサービスは提供可能。
  • レストランは客を受け入れることはできないが、テイクアウトのために営業を続けることはできる。
  • 宗教的施設は閉鎖されない。他方、宗教的行事は、30名以下の葬式、6名以下の結婚式を除いて禁止。
  • 万聖節(Toussaint)中にお墓参りのための移動は認められ、そのため花屋は日曜まで営業が認められる。
  • 閉鎖を行政より求められていないすべての企業は、可能な限り通常どおり継続されなければならない。しかし、物理的な出勤が必要不可欠ではないすべての企業が、テレワークをしなければならない。
    • 技術者、建築家など、すべてをテレワークで行うことが不可能で、現地での勤務が必要不可欠なセクターは、一部の時間の出勤は可能だが、できる限りの移動を縮小すべく、勤務体制を構築すべき。
    • 商店営業者、工事現場勤務の者などテレワークが不可能なセクターは、出勤可能。Attestationを携行し、ラッシュアワーを避けて通勤すべき。
  • 雇用主は、すべての被雇用者に対して、Tous Anti-Covidのアプリをダウンロードするよう求めなければならない。
  • 行政閉鎖の対象となったすべてのセクターは、企業負担が0%の部分的失業制度を利用することができる。
  • 観客を入れる文化施設はすべて閉鎖
  • 観客がない文化的な職業の継続、演劇や舞台の稽古、工芸品の製作などは継続できる

公園の開放や初等・中等教育機関の継続など、春のロックダウンと比べて条件が緩和されたものも多くありましたが、原則としては春のロックダウンと同様の制限が課されることとなりました。

ロックダウン直前には前回同様トイレットペーパーの買い占めが起こりました
ロックダウン前日、10月29日のパリ市内。21時に閉店することとなっていたレストランには最後の外食を満喫しようとパリジャン・パリジェンヌたちが集まっていました。

このような状況の中10月下旬には、「道端ですれ違った中国人を襲え」といったツイートが拡散されるといったことがありました。再度のロックダウンに反発する一部の過激派によるものと考えられますが、このような行動は到底許されるべきではありません。

アジア系以外の人には中国人とそれ以外を見分けるのは困難なため、このようなツイートが拡散されたという事実はフランスに住むすべてのアジア系の人々の恐怖を植え付ける形になりました。

なお、ロックダウン開始直後は、まちなかはガランとしていました。

閉鎖しているデパート付近もいつもより圧倒的に少なく
いつも人と車がたくさんいるオペラ・ガルニエの前もガラガラ。
幼児があって乗った地下鉄がほぼ無人だったということもありました
営業していないため、遅い時間ではありませんがほとんど人はいませんでした。
イルミネーションもきれいでしたが、いかんせん人がいません。

さらに、11月5日には、翌6日以降はロックダウン開始後も認められていた宅配を伴う飲食店の営業がパリ警視庁により禁止されました。