【フランス】【新型コロナ】2021年最初の記者会見
1月7日木曜日、カステックス首相による2021年最初の記者会見が行われ、フランスの新型コロナウイルス感染拡大防止策に関する今後の見通しが発表されました。以前の記者会見では、クリスマス休暇の影響が明らかになる1月20日を目安に制限を緩和し、レストランやバーなどの営業再開を目指すとなっていましたが、実際にはどうなるのでしょうか。
減らない新規感染者
ということで、まずは1日あたりの新規感染者数・死者数を確認していきましょう。ロックダウンを通じ、10月から11月にかけて新規感染者数は大幅に減少しましたが、その後はほぼ同じか微増。感染者の人口に占める割合は近隣国と比べればやや低いものの、1日あたりの感染者数は目標の約3倍となっており、油断はできない状況が続いています。また、病院の状況も引き続き逼迫しています。1日につき2500人の新規入院患者が発生しており、そのうち約200人が集中治療室を利用しています。
記者会見によれば、イギリス型の変異種の感染事例は19件、南アフリカ型の変異種の感染事例は3件となっています。変異種の拡大は見られず、今後もそれを防ぐためにあらゆる手段を尽くすとしており、イギリスとの国境は当面の間封鎖し、一部の例外を除いてイギリスからの入国を禁止する現在の措置も継続されます。
なかなか緩和されない制限
その他、国内での主な感染拡大防止措置として、以下の内容が発表されました。
- 博物館、映画館、劇場、スポーツ施設等、現在閉鎖中の全ての施設は、少なくとも今月末まで引き続き閉鎖。1月20日(水)に2月以降の順次再開の可能性とその条件を協議する。
- 現在営業が停止されているスキー場(リフト)の再開についても、1月20日(水)に協議する。
- 現在閉鎖されているレストラン、バー、スポーツ施設の再開は早くとも2月中旬以降。これらの施設についても同様に協議を実施する。
- 夜間の外出制限(感染状況が悪化している15県では1月2日(土)より18時以降翌朝6時まで、その他の場所では20時以降翌朝6時まで)は、少なくとも1月20日までは継続する。また、上記15県以外の10県について、1月8日(金)夜までに、1月10日(日)から実施する外出制限措置の開始時刻を18時に前倒しすることについての調整を行う。
- 検査態勢の拡充により、全員が無料で検査を受けることが可能。結果判明までの期間も短縮され、8割以上の検査で24時間以内に結果が判明。
- 現時点で小学校・中学校・高校の閉鎖は予定していないが、学校の感染状況は注視しており、学校での検査も強化していく。
注目すべきは現在閉鎖されている施設の営業再開が早くても2月以降という見通しが発表されたことでしょうか。昨年11月時点では、1日あたりの感染者数が5000人前後まで減った場合という条件付きで1月下旬の再開を目指していたフランス政府ですが、想定通り感染者が減らなかったという現状を受け、これを先送りせざるを得なくなったようです。できるだけ早い段階で経済の再生を目指しているものと考えられますが、そこにブレーキをかけざるを得なくなってしまいました。

1月10日より夜間の外出禁止令が18時開始に繰り上げとなる県では、その旨が周知されていました。
COUVRE-FEU 🕐 | À compter du dimanche 10 janvier 2021, l’horaire du couvre-feu est avancé à 18 heures dans l’ensemble du département du Haut-Rhin.
— Préfet du Haut-Rhin (@Prefet68) 2021年1月9日
Pour + d'informations : https://t.co/ElzzAP3Srq pic.twitter.com/9895xOBHS8
また、ワクチン接種についても以下の通り発表がありました。
- 12月27日に開始したワクチン接種キャンペーンを引き続き継続。近隣国と比べてワクチン接種数に遅れが見られるが、高等保健機構(HAS)が定めた方針に従い、要介護高齢者施設(EHPAD)の居住者等から接種を開始したことによるもの。
- 1月末までに、少なくとも100万人に接種が可能。
- ワクチン接種のフェーズ2の開始を早めることを決定。今週、50歳以上又は併存疾患ありの高リスクの医療関係者及び自宅介護ヘルパー等の接種が可能に。これにより、直近5日間で45,000人以上に接種。
- 障害者施設の障害者の方にもワクチン接種を開始する。
- 1月18日(月)以降、75歳以上の者はワクチン接種センターで接種が可能。接種までの手続きを簡素化し、対象者は、1月14日(木)以降、電話又はオンラインでアポイントを取り付ける。医師との事前の相談は任意。アレルギーの有無等を含め、シンプルな問診票への回答、看護師による確認を経て接種。接種後15分程度待機の後、帰宅可能。
- 既に各県に少なくとも一箇所の接種センターが設置されており、引き続き拡充され、1月末には600センターまで増加を見込んでいる。
- ワクチンは安全で、副反応は10万人に1人の割合で極めて稀。ほとんどがアドレナリンキットなしでは外出できないほどのアレルギー体質の人に起こるアレルギー反応である。
- ファイザー社製ワクチンの2回目の接種について、当初は初回の接種から3週間後の接種を想定していたが、6週間後でも可能である旨が確認された。
- モデルナ社製ワクチンの供給開始等により、ワクチン供給量は今後徐々に増加する。

ワクチン接種開始直後、昨年末は接種数がドイツなど周辺国と比較して伸び悩んでいたことから非難が殺到していましたが、年が明けてからは接種数をどんどん増やしているようです。安全に、簡単に接種できるというアピールがされていました。個別の内容を見ても、この通りに接種が進むと仮定すればかなりスピーディーな展開だと言えそうです。以下のツイートでは、1月8日に1日で36000人以上にワクチン接種を行い、169箇所のワクチン接種センターが開設されたことをアピールしています。
Plus de 80 000 soignants et personnes vulnérables en ehpad ont été vaccinées depuis lundi, dont plus de 36 000 aujourd'hui.
— Olivier Véran (@olivierveran) 2021年1月8日
169 centres sont ouverts dans toute la France.
La montée en puissance de la campagne vaccinale se poursuit.#COVID19
引き続き油断することはできませんが、1日も早い経済の再生が待たれます。