【非常事態宣言発令】夜間外出禁止令が発動
東京はまだまだ暖かい日が続いているようですが、ここ最近のパリはかなり冷え込むようになりました。最高気温も15度まであがらず、最低気温は一桁の日がほとんど。天気が悪い日も多く、どんよりとした気分になります。長い冬の始まりです。
さて、本日(10月14日)はマクロン大統領のインタビューがあり、感染症対策のための新しいルールが発表されました。現地での報道などを元に発表された内容をまとめてみようと思います。
COVID-19 : suivez mon interview. https://t.co/RPCt4WgBPL
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) 2020年10月14日
前回までの様子はこちらにまとめてあります。
こちらのニュース記事などを参考にしました。
10月前半時点でのフランスの感染の状況

感染者の増加傾向は7月末から続いています
まずは状況のおさらい。9月末の記事で、1日あたりの感染者数がロックダウン中の最高値を更新したことをお伝えしましたが、10月はその数字を更に上回ってきました。10月10日には1日あたり26,000人ということで、日本とフランスの人口比を考えると日本で1日に5万人の感染者が出ているのに匹敵します。凄まじい数ですね。
患者1人が平均して何人に感染を広げているかを示す再生産数は1.35、PCR検査の陽性率は12%超となっており、流行第2波の真っ只中という状況です。

一時は下がっていた再生産数も再び増加傾向です
本日マクロン大統領の発表の内容
夜間外出禁止
さて、45分あまりのマクロン大統領のインタビューの中で発表された内容を簡潔にまとめてみようと思います。
まずは夜間外出禁止令について。衛生上の非常事態宣言が出された9つの大都市圏(パリ、グルノーブル、リール、リヨン、マルセイユ=エクサンプロバンス、モンペリエ、ルーアン、サンテティエンヌ、トゥールーズ)では21時から6時までの間の外出が原則として禁止されます。仕事の都合上どうしても移動が必要な場合など、外出理由宣誓書の携帯とともに例外的に外出が認められる場合こそありますが、それ以外の場合に外出をした場合は135ユーロの罰金が課されます。再犯の場合は罰金が1500ユーロになるとのこと。ロックダウン中の許可されていない外出のときと罰金額は同じですね。この外出禁止令は4週間にわたって実施されるとのことですが、12月1日まで延長される可能性が高いとのことでした。劇場やレストラン、バーなども21時以降は例外なく閉鎖となるため、経済活動への多大な影響が懸念されます。
Le Parisienによれば今回の措置で影響を受ける地域の人口はおよそ1900万人で、フランスの人口の3割近くになるとのこと。そのうちの半分以上にあたる約1200万人がパリ圏在住です。
#macron20h annonce un #CouvreFeu entre 21h et 6h durant six semaines en Ile-de-France et dans 8 métropoles >> https://t.co/SEELOoft0o pic.twitter.com/QttEh6Bs27
— Le Parisien Infog (@LeParisienInfog) 2020年10月14日
一方、ロックダウン中のように公共交通機関の運行本数が減らされることはなく、移動の自由は保証されるということ。今週末からのバカンスについても移動は制限されず、夜間外出禁止令が敷かれていない地域への移動も問題なくできるとのことですが、ソーシャルディスタンスなどの感染防止策は徹底的に守られるべきで、滞在先でむやみに外出することがないようによびかけています。
集会の制限、テレワーク・マスクの推奨
また、家族や友人での集まりにおいて、10人以下に制限するように呼びかけていたものを6人以下に制限することとなりました。ソーシャルディスタンスを心がけるのはもちろんのこと、食事中などを除いて可能な限りマスクを着用することも呼びかけられました。
Six maximum. pic.twitter.com/G9hs0K8HF0
— Emmanuel Macron (@EmmanuelMacron) 2020年10月14日
一方、仕事についてはそれぞれに適した形でのテレワークの導入を呼びかけました。子供が家にいる場合にはテレワークが難しいこと、業務上同僚との会話が必要であることに理解を示しつつ、オフィス内の人口密度を下げ、感染拡大を抑制するため、可能な範囲で週2-3日程度のテレワークを推奨しています。
新しい検査手法とアプリの導入
PCR検査は結果が出るのに時間がかかっており、早くても24時間程度、遅いと1週間以上待たされることも多かったですが、今回の会見では検査手法の見直しにも触れられました。日本の空港の入国審査などでもすでに導入されている抗原検査を用いることで、最大でも30分以内に検査結果がわかるようにする体制を整えるとのことでした。
また、感染拡大を防止するべく、StopCovid Franceに代わる新しいアプリ« Tous Anti-Covid » が10月22日にリリースされることも発表されました。StopCovidに導入されている感染者との接触確認機能に加え、検査を受けられる場所の一覧や現在地における感染状況なども確認できるようになるそうです。
終わりの見えない戦い
このように感染拡大防止策が相次いで発表されましたが、フランス政府はこの状況が急転するとは思っていないようです。少なくとも2021年夏まではこのウイルスと共存する道を探る必要があると言及されており、その中で医療崩壊を起こさないために1日あたりの感染者数を3000人から5000人に減らさないといけない、という目標が示されました。
現状では一部の地域で重要患者向けの病床が新型コロナウイルス感染者によって満杯に近づいている他、パリ近郊の一部の病院で緊急でない手術の延期が行われており、今春のロックダウン中の惨事を二度と起こさないようにするべく対策が進められています。
ヨーロッパの他の国でもロックダウンや夜間外出禁止などが実施されている都市は多いようで、しばらくの間感染は収まりそうにありません。