【フランス語】【語学学習】初心者から5ヶ月でDELF B2取得!語学学校の活用法
寮の前の桜が散り始め、窓を開けてると花びらが部屋の中に入ってくるようになりました。晴れている日が多く、気温も20度を超すようになってきたので、普段どおりの外出ができないのが非常に歯がゆいです。しかし、4月15日までの予定の外出制限令は再度延長されることが確定的になったようで、詳しくは来週の月曜日にマクロン大統領からアナウンスがあるみたいです。
フランス語学習をしていた語学学校
さて、今日は、ENPCに留学することをきめていたもののフランス語力が0だった僕が、5ヶ月でDELF B2に合格した過程の中でどのように語学学校を活用していたかをお話します。DELFというのは、フランス語の能力試験のことで、英語でいうTOEFLとかTOEICみたいなやつのことです。

ということで、まずは僕が通っていた語学学校CAVILAMについてお話します。CAVILAMはフランス中部、オーベルニュ地方にあるヴィシーという街にある語学学校で、フランス国内の語学学校の中ではかなり評判がいいようです。ヴィシーという街は人口2万5千人程度で比較的小さな街なのですが、ヨーロッパでは名のしれた温泉地であり、第二次世界大戦中にドイツ軍によってパリが選挙されていた間、一時的にフランスの首都となった街でもあります(ヴィシー政権)。とはいえ、日本ではあまり知名度の高い街ではないと思います。
ヴィシーの街について
パリに住んでいる人のことをパリジャンやパリジェンヌなどと言ったりしますが、ヴィシーに住んでいる人のことはヴィシーソワやヴィシーソワーズと言います。彼らにヴィシー政権についての話をあまりいい顔をしないことが多かったので、訪れることがある場合は注意してください。
元々は山の中の何もない街だったのですが、ナポレオンIII世が温泉を気に入ったことから観光開発が始まります。大量のホテルが建設されたほか、フランス国内でも有数の規模のオペラやカジノなども建設され、19世紀前半には富裕層の方で賑わう街となっていたようです。
しかし、中央高地(Massif central)の中にある関係上交通インフラの建設には限りがあったようで、第二次世界大戦後は少しずつアクセスが悪くなっていきました。フランス版の新幹線TGVは通っておらず、パリから電車で行く場合は3時間かかります。飛行機を使ってもクレルモン・フェランという街までパリから1時間、そこからヴィシーまでさらに車で30分程度と、お世辞にもアクセスがいい街とは言えません。
CAVILAMについて
そんな街にあるにも関わらず、CAVILAMには世界中からフランス語を学ぶ生徒が集まり、冬は300人程度、夏は1000人程度の生徒が学んでいます。バブル期は日本人が最も多かったようですが、近年はイタリア人やスイス人、中国人、韓国人などが多数派です。夏の間は語学学校の教室が足りないので、夏休みに入っている近隣の小学校・中学校・高校の教室を借りて授業を行います。
1クラスの人数は15人までに制限されており、クラス別で構成されています。授業は原則全てフランス語で行われます。とはいえ、入門レベルの間はジェスチャーをたくさん使ったり絵や動画などを使って説明してくれたりするので、少しずつわかるようになります。教室での授業も多くありますが、コンピュータールームでの授業や街なかのギャラリーでの課外授業などが行われることもあり、先生方のユニークな授業が行われています。
CAVILAMの先生方は言語に堪能な方が多く、大体の先生は3ヶ国語を話します。多い先生では6ヶ国語を話す先生もいらっしゃり、外国語学習のハードルに対して非常に理解があるので、自分の状況をしっかりと理解してもらうことができればそれに合わせた解決策を提示してもらうことができます。
フランス語の先生たちに教え方をレクチャーする講座も行われている他、オンラインでのフランス語学習教材を作成されている先生もいらっしゃるため、フランス語学習の語学学校の中でも最高峰に位置すると考えて差し支えないと思います。
語学学校の活用の仕方~気をつけるべきこと~
さて、ここまでは語学学校CAVILAMやヴィシーの街についての話をしてきましたが、ここからの話はCAVILAMに限らず、またフランス語に限らず一般的に言えることだと思います。
言われれば当たり前な話だと思うのですが、語学学校に通って授業をただ受けているだけでは語学はできるようになりません。それなりの努力は必要です。とはいえ、自分で努力するべきところ、語学学校の授業を活用すべきところ、時間が解決するところなど、様々な側面があると思うので、自身の経験から5つのポイントをお話しようと思います。
短期、長期の目標をそれぞれ立てて、きちんと振り返りをする
語学に限らず何事についても言われることだと思いますが、非常に重要です。自分で立てた目標があると、それをモチベーションにできるようになります。
ただし、長期の目標のみの場合だと途中でだれてしまうことが多いので、短期・中期の目標も合わせて立てるようにしないといけません。また、特に短期・中期の目標はそれを達成できたかどうか判断できるよう、何らかの指標で評価できるもののほうがいいでしょう。
僕がように目標を立てていたのかを例としてお話すると、8月末に語学学校を卒業する時の目標を「学校のフランス語の授業についていけるようにすること」とし、1つの目安としてDELFのB2に合格することとしていました。
この長期的な目標を前提にし、さらにそれを区切った短期的な目標を立てました。CAVILAMではCEFRの基準に合わせてA1, A2, B1, B1+, B2, B2+, C1, C2と8段階のレベル分けが行われていました。4月頭にCAVILAMに入った時のレベルがA1だったため、難しいことは考えずに4月末にA2のクラスにいること、5月末にB1のクラスにいること、6月末にB1+のクラスにいること、7月末にB2のクラスにいることをそれぞれ短期の目標にしました。
目標設定に際しての注意点
注意するべきなのは、長期の目標を立ててから逆算して短期の目標を立てるようにする、ということです。短期の目標だとついつい保守的すぎる目標を立ててしまいがちで、最終的なゴールに到達できなくなる可能性があります。ある程度挑戦的な目標を立てたほうが成長のスピードは確実に上がるので、一見無理に思えるような目標を設定するようにしましょう。とはいえ、逆算して立てた短期の目標があまりにも到達不可能に思える場合、最終的な長期目標に無理があるということだと思いますので、そのときは長期目標の見直しを考えましょう。このさじ加減は難しいところではありますが、目標設定は自身の成長に大きく関わる分野なので、慎重に行うようにしたほうがいいと思います。
短期の目標の振り返りには、それぞれのクラスのレベルに加え、先生方から毎月いただくコメントが非常に参考になりました。先生方は僕の弱点を的確に指摘していただけたので、クラスのレベルとしてはいい位置にいても足りない部分があるということを丁寧に教えてくださいました。そのため、その部分を重点的に復習することができ、次の月の目標達成の妨げにならなかったと思います。
自分でやったほうが早いことは自分でやる
語学学校に通ってる間も自分でやったほうがいいこともあります。というのも、語学学校の授業はマンツーマンでない限りどうしても他の人もいるので、ペースが自分に最適なものとならない場合があります。また、説明が全てフランス語なので、細かい文法用語を使った説明などがわかりにくい場合もあります。
僕の場合は、渡仏時点ではフランス語の勉強をほとんどしていなかったのですが、語学学校に通っている途中で文法の勉強は自分でしたほうが早いと気がついたため、自由時間を使って自習しました。語学学校では文法を必要最低限の範囲でしか教えてもらえなかったのですが、日本語とフランス語は全く文法が違うため、最低限の文法を抑えておかないと全く授業についていけませんでしたし、逆に文法を先取りしておくと上のレベルのクラスに変えるときもスムーズにいきました。
これは持論なのですが、日本人はどうしても語学を勉強するときに文法を勉強するところから始めることに慣れていると思います。文法ばっかやってるといつまでも喋れるようにならない、という指摘もあるのですが、語学学校に通う前提であれば、文法は自分でどんどん先に進めてしまったほうがいいと思います。スペイン語話者やイタリア語話者などは文法が非常に似ているため、きちんとフランス語の文法を勉強しなくても「なんとなくわかる」という感覚があるようなのですが、日本人の場合にはそのようなことはまずありえませんので。
たくさん間違えてたくさん直してもらう
語学学校の最大のメリットは、その言語のプロがいるということです。それを有効に活用しない手はありません。
語学の勉強において、個人で実力を伸ばすのが難しい分野はライティングとスピーキングの2つだと思います。なので、語学学校ではこれらの間違いを指摘してもらえるべく、積極的に授業に参加していくことが必要です。日本人の場合、授業中になかなか発言できないという人もいると思いますが、そうなってしまうと「授業を理解できてるのかできてないのかが分からない」と先生が思ってしまいます。個別に聞いてくれる親切な先生だといいですが、そうでない場合、無断でレベルを落とされる可能性もあります。先生に自分のレベルを適切に把握してもらえるべく、授業中に積極的に発言をしたり、積極的に添削をしてもらったりするようにしましょう。
間違えることを気にする必要はありません。できないことをできるようにするために通う場所なので、できないのが当たり前だからです。それをとやかくいう他の生徒がいるかもしれませんが、その人と語学学校卒業後に再度関わることはほとんど無いと思うので、気にする必要もないでしょう。
ということで、先生に止められるレベルまで行かない範囲でどんどん授業に参加していきましょう。
少しでも疑問を持ったらクラスを変えてみる
ある程度規模が大きな語学学校なら、同レベルの複数のクラスがあることも珍しくありません。そのような場合は、クラスを積極的に変えることもおすすめです。
同じ語学学校でも、先生によって多少教え方には幅があります。つまり、合う先生と合わない先生がいます。語学学校に入ったときは気がつかないかもしれませんが、実はその先生はあなたとは相性が良くない可能性だって十分にありえます。そう考えると、特に序盤のうちは可能な限りいろいろな先生の授業を受けられるようにしてみるといいでしょう。
また、クラスにいる他の生徒のモチベーションも大切です。CAVILAMの場合、いくら15人以下の少人数教育だったとはいえ、どうしても多数派に授業のペースを合わせる必要があったため、自分の求める授業のペースと合わないことが多々ありました。せっかく高いお金を払って授業に行くのですから、自分にちょうどいいペースで進むクラスを見つけましょう。
最後に、少し背伸びをしたくらいのレベルのクラスに入ることがおすすめです。CAVILAMの場合、授業の内容の70%くらいがわかればそれがちょうど良いクラスだと先生に言われました。授業の内容が100%わかるようであればその授業から新しく学ぶことは無いわけで、そのようなクラスに参加する必要はありません。語学学校の授業は必ずしも全部わかる必要はない、という前提を知っておくことは大事でしょう。
ライバルを設定する
個人的にはライバルを設定すると負けないようにしたいという気持ちが強くなるので、この方法は非常に有効でした。一緒に留学に来ている同期の友達が数人いたのですが、彼らは4月頭に語学学校に入った時点で全員僕よりも上のレベルのクラスにいました。そのため、彼らに負けたくない、語学学校を卒業するまでになんとか追いつきたい、という意識が非常に強く働き、モチベーションとなっていた部分が非常に大きかったです。
また、同じ家にホームステイしていた他の学生の存在も大きな励みになりました。中国から来ていた彼は、9月に初心者として語学学校に入学し、僕がヴィシーに着くまでの7ヶ月の間にB2までレベルアップ、5月の試験でDELF B2に合格していました。彼は英語もあまりできず、フランス語が第1外国語という状態だったようなので、英語やスペイン語学習の経験が多少ある自分の場合にはもう少し早くステップアップできる、と考えていました。
同じ時期に同じレベルでいる人をライバルに設定できるのが理想だと思いますが、必ずしもそのような人がいるとは限りません。しかし、違うタイミングに入学し、自身の目標を達成している人をロールモデルとするやり方は非常に有効だと思います。僕の場合はたまたま同じ家にホームステイしていた学生をロールモデルとできましたが、そうでない場合でも語学学校には必ずロールモデルにできる学生がいるはずです。先生に話を聞いてみれば過去の成功例などをおしえてくれるとおもうので、入学後早めに相談してみるといいでしょう。
まとめ:語学学校では受け身にならないようにしよう
以上、大きく5つのポイントに分けて語学学校の活用法をお話してきました(目標設定、自学との併用、トライアンドエラー、クラスの変更、ライバルの設定)。これら全てに通じるのは「受け身にならない」、ということです。語学に近道はなく、結局は自分でがんばるしかありません。語学学校は自分の努力をサポートしてくれるツールでしかない、ということを認識しておくことは非常に重要です!語学学校では