【フランス】【旅行】Carte jeuneって何?~長期留学生なら作るべきカード~
パリ市では明日以降、10-19時の間の運動目的の外出が禁止されるようです。僕の住んでいる場所はパリ市の外なので当面は関係ないと思うのですが、一応情報に注意しようと思います。
そもそもCarte jeuneとは
さて、外出制限でずっと鬱々としていても仕方ないので、外出制限が終わったらどんなことをできるかに思いを巡らせて、フランス拠点の旅行に役立つ« Carte jeune »についてご紹介したいと思います。
直訳すると「ユースカード」ということで、一般的にお金は無いが時間には比較的余裕があるとされる若者向けのアイテムです。1年でいくら、という形でカード代金がかかるのですがカードを持っているだけで大幅な割引を受けられるので、何度も使う人であれば作らない理由がない、ということですね。企業側にとっても顧客を囲い込める重要なツールになっているんだと思います。
以前、フランス国鉄SNCFのCarte jeuneについては別の記事で軽く触れました。
フランス国内の旅の場合はSNCFが非常に便利なのですが、それでもパリからニースなど、長距離の移動になってくると鉄道では分が悪いです(参考までに、TGVだとパリからニースまで片道6時間程度。1日1往復直通のTGVが運行されています)。そこで、今回はエールフランスのユースカードについてご紹介します。
エールフランスって?
ユースカード自体の紹介に移る前に、まずはエールフランス(Air France)の紹介をしておきます。エールフランスはその名からもわかる通りフランスの最大手の航空会社で、パリ(郊外)のシャルル・ド・ゴール空港を拠点としています。平時は日本の東京(羽田・成田)と大阪(関西)に直行便を就航しており、特に2020年夏ダイヤからは羽田が毎日2-3往復、成田が毎日1往復、関西が毎日1往復設定されています。
フランス国内線では20あまりの都市に就航しており(海外領土含む)、その大半はパリ(シャルル・ド・ゴール、オルリー)発着です。また、主要な地方都市(リヨン、マルセイユ、ボルドーなど)との間は運行本数が多く、多いときは1時間に1本ほどのペースで飛ばしています。国際線は92カ国に就航しており、旧フランス植民地の国々を中心に世界中に幅広いネットワークを持っています。
元国営企業で、現在は民営化されていますがCOVID-19流行に伴う大幅な業績悪化により、国有化の議論も行われています。
機材面の話をすると、フランスには二大航空機メーカーの1つ、エアバスの工場があります(トゥールーズ)。それ故か、エールフランスはエアバスの機材を多数保有していますが、ボーイングの機材も多数保有しています。
オランダのKLMオランダ航空と経営統合を行っている他、航空連合のスカイチームに加盟しています。デルタ航空や大韓航空などと同じ航空連合ですが、ANAやJALなど日本の航空会社は加盟していないため、日本に住んでいるとなかなか縁がない航空会社かもしれません(JALとは個別に提携を結んでおり、コードシェアなども行っています)。


エールフランスのCarte jeune
いよいよ本題、エールフランスのCarte jeuneについてです。周囲の友人に話を聞くと、SNCFのCarte jeuneは持っているがエールフランスのCarte jeuneは持っていないという人も多いので、認知度はSNCFのそれより低いかもしれません。というのも、フランスの鉄道は99.9%SNCFが運行していますが、飛行機の場合はRyanairやeasyjetといったLCCが台頭しており、価格面でそちらのほうが優位なことが多いからと思われます。

その分、エールフランスが用意しているCarte jeuneの特典は非常に魅力的です。以下で細かく紹介していきます。なお、SNCFの場合は28歳未満が対象ですが、エールフランスの場合は25歳未満が対象となっています。
エールフランスのCarte jeuneのメリット
まずはやはり料金面。エールフランスではLight, Standard, Flexの順で3つの運賃クラスがあり、Lightが最も安く、その分制限が多い運賃でFlexが最も高いですがその分キャンセルや変更が自由にできるチケットとなっています。ユースパスを持っているとYouth Passという運賃種別でチケットを購入できるようになり、Standard運賃と比べて最大35%割引となります。Lightと比べるとほとんど価格差が無いこともありますが、それでもLight運賃よりYouth Pass運賃のほうが高いというのは見たことがありません。
Youth Pass運賃の最大のメリットは運賃に含まれている特典です。Lightの場合、預入荷物は含まれておらず、キャンセルや変更も一切返金はありません。Standardの場合は預入荷物は1つ含まれていますが、キャンセルはできませんし変更も手数料が70ユーロかかります。一方、Youth Pass運賃の場合はStandardよりも圧倒的に安いにも関わらず、預入荷物が1つ料金に含まれています。また、変更手数料がわずか10ユーロ、キャンセルも20ユーロの手数料でできるので、比較的便利です。Flex運賃であれば変更・キャンセル手数料は無料ですが、Youth Pass運賃の3倍近くかかるので、これは非常に魅力的です。
Carte jeuneのキャンセル無料特典が役に立ったエピソード
飛行機に乗って旅行に行く場合、ホテルの確保などの問題もありますしなかなかキャンセルをするということも少ないと思うのですが、個人的にはこれに救われたフランスならではのエピソードがあります。
というのも、ボルドーからパリまでの帰りの手段としてTGVを予約していたのですが(30ユーロ程度)、乗車日前日、すでにボルドーに着いてからストライキのためにTGVの運行がキャンセルになったという連絡がSNCFから来ました。他の列車も大量にキャンセルされてしまったため、そのメールを見て別の列車を探した時にはすでに空席がある列車はありませんでした。この時はパリに戻った次の日にまた別の場所に行く予定だったので、なんとしても予定していた日にパリに戻る必要がありました。

途方に暮れていたところ、エールフランスの飛行機が当初のTGVのチケットの5倍位の値段で空きがあることがわかりました。値段があまりにも高かったため、買うべきかどうか非常に迷ったのですが、パリに戻る交通機関を見つけられなかったときの保険のためにとりあえず買っておいたのを覚えています。この時は、最悪20ユーロでキャンセルできるというのが購入の決め手になりました。
実際、移動当日、飛行機の時間の3時間前くらいにSNCFのサイトを再びチェックしていたところ、急遽列車が増便されたようでたまたま空席を確保することができました。元々のチケットの払い戻し手続きをしていなかったので、元々の30ユーロの他に追加料金は一切かかりませんでした。空港までの往復を考慮すると時間的なアドバンテージもほぼありませんし、最終的には飛行機をキャンセルすることにできました。20ユーロのキャンセル手数料こそかかりましたが元々のチケットの値段が高かったため、100ユーロ以上が返金されました。非常に安堵したのを覚えています。
エピソードを通じて改めて感じたメリット
このように、日本と違って突然のストライキによって電車や飛行機などが運休になる可能性があるフランスでは、安い手数料でキャンセルできるチケットを買うというのは旅行計画を変更せざるを得なくなるリスクを小さくすることができます。このような経験から、僕はエールフランスのCarte jeuneは非常に魅力的だと考えています。
エールフランスの飛行機は機内サービスなども受けられますし、LCCなどと比べると遅延なども少ないと思いますので、フランスに住んでいる25歳未満の方で、エールフランスの飛行機を複数回使うようであれば非常にお得なプログラムです。
Carte jeune使用にあたっての注意点
注意点としては、これらの特典は基本的にフランス国内線、あるいはフランス発ヨーロッパ各国行きの国際線でしか受けられません(往復で購入する場合はヨーロッパ各国発フランス行きのチケットも対象)。日本行きのチケットなどではそもそもYouth Passという運賃種別で購入できません。あくまでもフランスを拠点にヨーロッパを旅する場合のみに有効ということを抑えておきましょう。
また、エールフランスのチケットは原則購入した場所でしか変更・キャンセルができません。出発直前にアプリなどを通じてキャンセルできるのはアプリ経由で購入した場合に限られるようなので、注意しておきましょう。エールフランスの日本のサイトで購入した場合、日本のオフィスが営業中の時間帯しかキャンセル等を受け付けてもらえないので、出発までに間に合わないという場合もありえます。