EU留学生がボスキャリで外コン複数内定のためにした準備

就活は多くの大学生にとって非常に大きなイベント。終身雇用は崩壊しつつあるとはいえ、社会人としてのキャリアを歩んでいく中で1社目が重要な位置を占めることに変わりはありません。

留学生にとって就活が大きな悩みとなっていることも見逃せません。情報が少なく、学校の授業なども忙しい中、時差を乗り越えて就活をするのは正直難しさがあります。

そこで、この記事では23卒就活で外資系戦略コンサルティング企業から複数の内定を獲得した中の人が、内定を獲得するまでにどのようなプロセスを経たのかをすべて解説します!

©CFN

この記事の前提

詳しいプロフィールはここに書いてありますが、中の人は大学院のダブルディグリー・プログラムで留学していたので、留学先(フランス)の学校の学位(修士相当)も取得予定です。このため、正規留学生のみが応募可能なポストにも複数アプライしており、その中の一部では内定をいただくことができています。

交換留学の人にも参考になる部分はあると思いますが、この記事はどちらかというと正規留学生/ダブルディグリーの学生を対象としていることをご了承ください。

メインの戦略

今回の就活は、主に2021年に行われたボスキャリ(オンライン開催)をターゲットとしていました。留学生の就活といえばボスキャリだろ、という先入観などが主な理由ですが、もっと他のサービスも使えたな、と終わってからは考えています。これについては後述します。

実際の準備

webテストについて

中の人は中学受験を経験しており、webテストで問われるような問題を速く正確に解く訓練を幼少期にすでにこなしていたことと、学部生時代の就活でwebテストを用いた選考をすべて通過していたことから、今回の就活ではwebテストの対策はほぼしませんでした(結果的に今回もエントリーシート/webテストで落とされたのは1社のみ)。

しかし、外資系コンサルティング会社など、いわゆる入社難易度が高いような企業を志望される皆さんには早い段階から対策を始めておくことをおすすめします。外資系コンサルティング会社の選考において、webテストは大勢の応募者の中から一定の基準に到達していない人々を通過させないための「足切りフィルター」として存在していると考えられます。つまり、webテストを通過できない限り、まともにチャレンジすることもできません。webテストは形式がしっかりと定まっており、ある程度やり込んでパターンを把握する、簡単なテクニックを抑えるなどすれば正解率・回答速度ともに上げられるので、市販の書籍などを参考に対策をするといいでしょう。

留学先では書籍が手に入れにくいことや、留学開始後は時間的な余裕がないことから、留学開始前から対策をするのが望ましいといえます。留学開始までに対策ができず、対策が困難となってしまった場合、通年採用を行っているベンチャー企業などでwebテストを利用した選考を行っているインターンなどに応募し、途中で選考辞退をすることなどである程度の経験を積むことができますが、相手となる企業様に迷惑なのでやめておきましょう。

エントリーシートについて

こと外資系コンサルティング企業においてはエントリーシートの重要度は低いと言われていますが、知り合いにエントリーシートで落とされていた人もいたので油断は禁物です。後悔したくなければある程度真剣に取り組んだほうがよいでしょう。

エントリーシートに書くことは、主に自己PRと志望動機の2つです(企業によっていずれかのみ、あるいはいずれも書かなくてよい場合もあります)。

自己PRについて

ボスキャリから応募する場合は共通の自己PRを使い回すことができる場合があります。また、各社個別のエントリーシートに記入する場合でも、ボスキャリの自己PRを使いまわし、文字数の調整をするだけで済ませられるケースが圧倒的に多いです。このため、CFN(ボスキャリの運営企業)のページ上でプロフィールにしっかりとした自己PRを準備しておくことが非常に重要になります。

中の人の場合は2021年秋のボストンキャリアフォーラムに参加する前、2021年春のロンドンキャリアフォーラム(CFN Spring Online)のセミナーに参加し、ある程度守るべきフォーマット(自身の強みが現れている3つのエピソードについて、それぞれ300-500字前後で書く、など)を把握した上で、夏頃には自己PRの雛形を完成させました。このベースを利用したおかげで、各社にアプライする際は文字数の調整以外に自己PRに取り組む必要はありませんでした。

自己PRを書く場合、まずは自己分析ができていることが重要になってきます。また、自分が強みだと思っている部分が他人から見た場合にはさほど感じられなかったり、自分が強みだと思っていない部分が他社から見ると強みだと感じられたりする場合もあります。このため、添削の意味も込めて各社の人事経験者や就活をしたことある先輩などに添削してもらえるといいでしょう。最近ではマイナビの他己分析ツールなどもあるので、使ってみるといいと思います。

自己紹介動画について

最近では自己紹介動画の提出を求められる場合もあるようです。中の人の場合は要求されたことがないのでわかりませんが、ベースとしては自己PRの延長だと思うので、相手にアピールするべき中身をしっかりと準備しておくのが重要です。その上で、文章と比べて伝え方の自由度が高いので、伝えたいメッセージが相手に伝わるように喋り方、スピード、背景などを適切に選択する必要があると思います。

各社の志望動機について

ワンキャリアなどの就活体験記を見ると、過去のESでどのような質問をされていたのかを確認することができます。ボスキャリなどの留学生向け選考でも大幅に質問内容が変わることはなかったので、参考にして早い段階からイメージしておく価値はあると思います。

ただし、質問内容が突然変わることはありうるので、実際の応募の段階まではあまり準備をする必要はないでしょう。

OB訪問について

いわゆる日系企業はあまり受けていないので、OB訪問はしませんでした。外資系コンサルティングファームの場合は、内定後にコンサルタントの方との面談を設定していただき、詳しくお話を聞かせていただける場合がほとんどなので、必要以上にOB訪問をする必要はありません。

なお、これが関係しているかはしりませんが、他に受けた日系企業(デベロッパー)2社は選考を通過できませんでした。

ケース面接対策

外資系コンサルティングファームの場合、面接はほとんどケース面接です。志望動機を聞かれる、あるいは興味関心を深堀りされて思考の深さを試されることもありますが、ケース面接がある程度のレベルまでいかないと選考を通過できないことに違いはありません。

選抜コミュニティ

ケース面接対策を行うのに一番手っ取り早い方法は選抜コミュニティに入ってしまうことです。選抜コミュニティでは、内定者によるメンタリングを受けられたり、グループディスカッションやケース面接などの対策講座を受けられたりすることができます。代表的なものには「YC塾」「Factlogic EXE」「外資就活アカデミア」「NEXVEL」などがあります。

これらはいずれも日本国内の就活生が対象となっているものがほとんどですが、留学生を受け入れてくれる場合もあります。実際、中の人もこのようなコミュニティに所属していました(2021年2月頃に選考会に参加→4月ごろより講座+メンタリング)。

選抜コミュニティに所属することのメリットは主に2つ。1つ目は選抜が入ることによる、中にいる人のクオリティの担保です。セレクションを通過しないと所属できないので、一定レベル以上の人しかいないことになります。そのため、講座など以外のタイミングに自主的にケース面接対策を行う場合なども安心して取り組むことができます。2つ目のメリットは入ってくる情報の精度の向上。1つ上の代の内定者などがメンターとして参加しているため、前年度のリアルな体験談を聞くことができますし、間違っている情報はほとんど流れません。

時差の都合などもあり、すべての講座などに参加できたわけではありませんが、コロナ禍以降これらの講座はいずれもオンラインで行われていたので留学先からでも参加することができました。中の人が入っていたコミュニティの場合は留学先(フランス)の時差に合わせて講座時間を調整してくれるなど、留学生に対する配慮をしてくれる場合もあります。所属することによるメリットはかなり大きいので、興味がある場合はとりあえず選考会に参加してみる、運営に留学生でも参加できるか問い合わせてみるなどのアクションを起こす価値はあるでしょう。

ただし、当たり前のことではありますがこれらのコミュニティに所属するだけでは意味はありません。「定石」を見つけ、それを使いこなすためのある程度の演習量はどうしても必要になってくるので、「実際に問題を制限時間付きで解く→制限時間なしでゆっくり考える→自身の回答に対して適切なフィードバックをもらう」といったサイクルを何周も回るのは重要です。

知り合いとのケース面接対策

内定者など、ケース面接をくぐり抜けた人が知り合いにいる場合はその人に対策をしてもらうということも考えられます。

就活生同士でも練習することは可能ですが、適切なフィードバックが受けられるかどうかというところではどうしても疑問が残ってしまいます。

Twitter就活コミュニティ

選抜コミュニティに入れなかった学生を中心に「就活対策アカウント」と呼ばれるアカウントを用いて赤の他人と就活対策を行っている場合も多く見受けられましたが、中の人は作りませんでした。上記の通り、就活生同士での対策は適切なフィードバックが受けられる自信がなかったためです。

ただし、内定者懇親会で「就活対策アカウント」で知り合い、一緒に対策をして共に内定したという人にも出会ったので、成功しているケースもあるようです。検討の価値はあるでしょう。「#〇〇卒」「#就活垢」「#〇〇卒とつながりたい」などのハッシュタグがう買われているようです。

その他活用したもの

J-CAD

J-CADは面接前に企業の方とざっくばらんにお話する機会をいただける選抜コミュニティです。選考の場や説明会などでは聞きにくいようなカジュアルな質問をすることもできるので、非常に人気があるコミュニティで、選考の倍率は高いですが幸いなことに所属することができました。

時間は非常に限られているものの、本当にどんなことでも聞くことができるので、社員の方の雰囲気などがよく分かる貴重な機会となりました。自分がさほど検討していなかった企業のお話も聞くことができるので、視野が大きく広がる機会にもなります。

社員の方のお話を伺う機会は日本時間の平日夕方になることが多く、留学中の方は都合をつけるのが難しいかもしれません。個人的にはコロナによってインターンがテレワークになったため、スケジュールを調整しやすかったですが、アプライする前に問い合わせることをおすすめします。

©Goodfind

使えばよかったと感じたサービス

Connect Job

志望企業にアプライし終わってから見つけたサービスですが、Connect Jobは正規留学生向けのエージェントサービスです。利用にあたり面談などは必要ですが、エントリーシートの添削をしてくれたり、ケース面接の対策を手伝ってくれたりなど、就活生が無料で使えるサービスであるにも関わらず手厚いサポートを受けられるようなので試してみる価値はありそうです。

おわりに

中の人が外コンの人気企業複数から実際に内定をもらうまでに行った準備をすべてまとめてみました。特殊な事情によりほとんどwebテストの対策をしなかったため、自己PRの準備とケース面接の対策が主でしたが、これから就活を控えている留学生の参考になればさいわいです。