【フランス大統領】今日の演説~2020年4月13日~【COVID-19】
今日もスーパーで卵が買えず、悲しくなりました。いつ入荷されているのかがわからないので、何度も試してみるしかなさそうです。

外出制限は1ヶ月延長…
さて、本日はフランス大統領のエマニュエル・マクロン氏による« Allocution »が行われました。Allocutionという言葉は辞書によると演説やスピーチなどに相当するようで、フランス大統領によるAllocutionは20時から行われることが多く、テレビやYouTube Liveなどで見ることができます。事前に予告が行われ、必ず重要な内容が発表されるということもあり、フランス国民の視聴率は非常に高いようです。
そんな中、僕自身はすっかりその存在を忘れており、のんきに料理をしていました…。が、YouTubeで映像をその後に確認したので、その内容を翻訳してお伝えしたいと思います。なお、できる限り正確な内容になるよう注意をしていますが、誤訳等がある可能性もありますので、ご承知おきいただければと思います。
演説の大まかな内容
演説は、フランス国内でのCOVID-19の流行状況の説明、第一線で活動している労働者の方々への感謝の言葉から始まりました。この状況は非常に困難なものであるが、多くの方々の献身的な努力により、少しずつフランスが前進している、といった強いメッセージが込められていました。また、マスクや人工呼吸器など、前回の演説で各地域への配分を約束していたマスクや人工呼吸器などが行き届いていないことにも言及していました。必要なところに医療資材が行き届くようにするべく、アクションを取ることを約束しています。
その後、今後のアクションについて、現時点で決まっていることが次々に発表されました。流行の急激な拡大を抑えるために現在行われている外出制限の措置は、5月11日まで延長されるとのことです。これは効果的に対処するための唯一の手段であると言及しており、国民にルールの遵守を促しています。また、これに伴い観光業やホテル業などの大きな打撃を受ける業界に対する経済支援政策が今後発表されると約束しています。他にも支援が必要と考えられる貧困家庭や学生への支援についても言及していました。
段階的に解除される外出制限、多く残る不確定要素
5月11日から先の外出制限の解除については、一斉に行われるわけではないようです。まず、各家庭における教育機会格差を解消するため、保育園や小学校、中学校、高校は5月11日より段階的に休校が解除されるようです。しかし、大学やグラン・ゼコールなどの高等教育期間については夏まで引き続きオンラインでの授業とのことです。
バーやレストラン、カフェ、映画館、劇場など、多くの人々が集まる場所は5月11日になっても引き続き閉鎖されるようです。また、大勢の人々が集まるイベントや集会などは7月中旬まで禁止されるとのことでした。5月中旬以降、状況を見ながら段階的に措置を適応させていくとのことです。ツール・ド・フランスやローランギャロス、F1フランスグランプリ、カンヌ国際映画祭など、この時期のフランスは世界的に大きなイベントが非常に多いので、スケジュールの見直しを余儀なくされそうです。
さらに、持病を抱えている人や高齢者など、感染リスクが高いと考えられる人には5月11日以降も引き続き自宅隔離を要求するとのことです。5月11日以降に症状がある全ての人がウイルス検査を受けられる体制を整備するとのことでした。毎日の検査数を増加させられるよう努力を継続していくとのことでした。さらに、「大衆用マスク」が国民に配られるようです。
5月11日以降の具体的な計画については、15日以内に発表されるとのことなので、未だ詰めきれていない部分も残っているようです。ヨーロッパ以外の国との国境は引き続き閉鎖されるとのことです。
この他、研究分野への大規模な投資や可能性のある全ての治療法の検討、アフリカ諸国に対する援助についても言及がなされていました。そして、国民にこの困難を乗り切るための団結を訴え、30分の大統領の演説は終わりました。
演説による呼びかけの効果
大統領の演説は、わかっていることとわかっていないこと、決まっていることと決まっていないことを明確に区別しているという印象を受けました。決まっていないことについては、いつ頃までに判断がなされるのかが共に伝えられていたように感じられ、政権のビジョンを伝えようとしている姿勢が伝わりましたし、現状できる最善の対応を行っているのではないか、という印象を受けました。
また、過去の演説を見ていると、大統領の演説では全体の方針が打ち出され、その後各大臣などによってその方策の具体的な部分が説明される傾向にあるようです。おそらく今回もその例に漏れず、経済支援政策の具体的な内容については近日中に発表されるものと思われます。現状わかっていること、国民全員に知っておいてほしいことに内容を絞って、国民の団結を訴えるための演説が行われたという印象を受けました。
日本でこのような手法がそのまま受け入れられるとは限りませんが、情報伝達の手法として参考になる部分があるように思えます。