【ヨーロッパ旅行】4つの空港の違いは?~パリ旅行空港編その1~

2020-10-05

ENPCではイースター休暇が始まったので、4月11日土曜日から4月19日日曜日まではオンライン授業もありません。本来であればこのバカンスの休暇を利用して旅行をしたかったのですが、もちろんそんなことできるはずもなく、寮の自室に引きこもっています。精神的にまいらないように気をつけようと思います。

パリの有名な二大空港

ヨーロッパ有数の規模、シャルル・ド・ゴール空港

さて、今日はパリの空港について紹介したいと思います。僕の認識している限りで、パリの近くには空港が4つありますが、一般的に使われるのはそのうち2つです。日本からの直行便が就航しているのはパリの北東約30kmの位置にあるシャルル・ド・ゴール空港(Paris Charles-de-Gaulle, CDG)で、日本人に最も馴染みのあるパリの空港といえばこちらでしょう。ロンドンのヒースロー空港(London Heathrow, LHR)についで旅客数ヨーロッパ第2位の空港であり、世界的に見てもトップ10に入るほどのハブ空港です。パリ発の長距離国際線は全てこの空港から発着している他、国内線やヨーロッパの近距離国際線もかなりの路線があります。内陸部にある空港にも関わらず、24時間離発着が可能な空港で、例えば羽田空港を深夜に出るエールフランス293便は早朝5時前後にCDG空港に到着します。

市内までのアクセスは比較的よく、RER B線という電車で30分程度、片道10.30ユーロで行くことができる他、パリ市内を発着するバスも複数運行サれています(Roissy Bus, Le bus Direct)。Roissy Busは観光にも便利なオペラ地区にパリ市内の発着場所があるため、利便性が高いでしょう。タクシーはパリ市内へ行く場合は固定運賃制が採用されており、市内右岸側は50ユーロ、左岸側は55ユーロとなっています。

フランス版新幹線、TGVが第2ターミナルに乗り入れており、こちらからフランスの地方都市やブリュッセルなど、各地へスムーズに乗り継ぐこともできます。パリのディズニーランドまではTGVで約10分と非常に行きやすいので、ディズニーが好きな方は到着直後または出発直前にディズニーランドに行くことを組み込むのもおすすめです。

シャルル・ド・ゴール空港第1ターミナル
パリ・シャルル・ド・ゴール空港第1ターミナル。やや特殊な構造をしています。

シャルル・ド・ゴール空港には、2025年末にCDG Expressという新しいアクセス鉄道が乗り入れる予定です。既存の線路も活用し、パリ市内(Gare de l'Est駅)まで20分で結ぶ列車が15分間隔で走ることとなっています。

CDG Expressの計画(SNCF Réseau, Parimage, Groupe ADP)
新線の建設は点線部のみで、その他は既存の設備を再活用します。

近距離路線が就航、オルリー空港

その次に有名な空港がオルリー空港(Paris Orly, ORY)でしょうか。こちらの空港はパリ市の南約20kmのところにあります。1974年にシャルル・ド・ゴール空港が開港するまでは世界各地への路線が就航していましたが、現在は主に国内線やヨーロッパ国内線、中近東・北アフリカ行きの国際線が就航しています。日本から直接フランスの地方都市に行く時などは不便ですが、パリを観光する前後にフランスの他の地方都市やヨーロッパ各国の都市に行きたい場合などには非常に便利な空港だと思います。

ただ、距離の割にはアクセスがいまいちで、電車の場合にはRER B線とORLY VALという2つを乗り継いでいくか、メトロ7番線とトラム7番線を乗り継いでいく必要があります。RER C線を使うというアクセス方法もないことにはないですが、日中の本数が30分に1本程度と非常に少なく、利用は現実的とは言えないでしょう。

パリ市内からバスも出ていますが(Orly Bus, Le Bus Direct)、特にOrly Busは発着場所がやや不便な場所(Denfert-Rochereau)になるため、個人的にはあまり好きな空港ではありません。タクシーで行く場合にはパリ市左岸側が30ユーロ、右岸側が35ユーロの固定料金になっています。2人以上であれば電車やバスを使うよりも安く行けることも多いので、パリ市内のホテルやターミナル駅などからタクシーに乗ってしまうのがおすすめです。スペインに行くときに一度だけオルリー空港を使ったことがあるのですが、そのときはUberやKaptenといったライドシェアサービスを使って移動してしまいました。

オルリー空港のアクセスは2024年に予定されているメトロ14番線の延伸によって大きく改善される予定です。国鉄駅があり、Galerie Lafayetteなども近くにあるSaint Lazareや日本食レストランなども多く集まっているPyramides、多くの地下鉄が乗り入れているChâteletなどパリ市内中心部の主要駅からオルリー空港まで1本でアクセスできるようになる予定です。

なお、記事執筆時点(2020年4月11日)ではCOVID-19の影響で閉鎖されており、運行されていた数少ない便は全て同じ管理会社(ADP)が運営するシャルル・ド・ゴール空港へと移管されています。(追記:2020年6月28日 長期間閉鎖されていたオルリー空港ですが、2020年6月26日から一部の発着便の運行が再開されています。EU圏の国が一部の国に国境を開くこととなっている2020年7月1日以降はより多くの便が発着する予定となっているようです。

馴染みのないパリの2つの空港

ここまでの2つの空港はパリに来たことがある人であれば知っている人も多いと思うのですが、これから紹介する2つの空港も知っているという人はなかなかいないのではないでしょうか。僕もこちらに来るまであまり知らなかったです。東京でいうと茨城空港のようなポジションでしょうか。

格安航空専用、ボーヴェ空港

ということで、3つ目に紹介するのはパリ・ボーヴェ・ティレ空港(Paris Beauvais-Tillé, BVA)です。こちらの空港はパリの北約90kmのところにある、非常に小さなアクセスの悪い空港です。パリ市内から行く場合、凱旋門の最寄り駅からメトロの1号線でもう一駅西に進み、Porte Maillot駅の近くから発着するバスで行くことができます(往復29ユーロ、約75分)。就航している航空会社は少ないのですが、ヨーロッパで有名な格安航空会社(LCC)、Ryanairの便が発着しており、タイミングさえあえば非常に安く移動することができます(一例として、僕の友人はアイルランドまで往復5000円以下のチケットを取っていました)。ただし、Ryanairは何かと理由をつけて追加料金を取ってくることで有名なので、スーツケースを預けたりすると結局他の航空会社と大差ない、ということもありえます。空港の場所なども考えると上級者向けの航空会社と言えるでしょう。

僕自身は使ったことがないのですが、友人によると非常にコンパクトな空港で迷子になる要素もないため、空港にさえたどり着くことができれば搭乗までは非常にスムーズだったとのことでした。

現状あまり使われていないル・ブルジェ空港

そして、最後に紹介するのがル・ブルジェ空港(Le Bourget, LBG)です。1932年にオルリー空港が開港するまではパリ唯一の国際空港として、その後も1974年までは定期旅客便の発着に使用されていた空港ですが、シャルル・ド・ゴール空港の開港に合わせて定期旅客便を全て移管したようで、現在はチャーター便の発着などに使われている他、隔年6月に開催されているリ航空ショー(Salon International de l'Aéronautique et de l'Espace)の会場として使用されています。ル・ブルジェ航空宇宙博物館が隣接しており、フランス製の各種航空機やロケットなどが展示されているそうです。

パリ航空ショーについては、以下の動画(英語)が参考になります。

航空系YouTuber・Sam Chui氏による、パリ航空ショー2019のハイライトを紹介している動画。

シャルル・ド・ゴール空港とパリ市内のちょうど間に位置しており、パリ市内からは最もアクセスがいい空港ですが、定期旅客便の就航がないため、最も使わない空港とも言えるでしょう。

以上、パリの4つの空港について紹介してみました。それぞれの空港内の各ターミナルの様子、就航便などはまた今後詳しく紹介していく予定です。